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2016.03/02 混練と配合設計に関する講演会

この3年間、弊社が中国で活動してきました成果を踏まえ、5月までに3件ほど混練技術に関する講演会を開催致します。いずれも異なるセミナー会社で開催されますが、申し込みは弊社で行いますのでご案内をさせていただきます。
 
特に、4月と5月開催の講演会につきましては、今期の予算で処理できないことになりますが、弊社に申し込みいただく場合には、「DL版高分子のツボ」を購入していただきますと、その付録として参加証を付けさせていただく形態の販売となりますので、期末の経理処理が可能です。是非ご利用ください。
 
お申し込みは、弊社へお問い合わせください。詳細のご案内を電子メールにてさせていただきます。
 
 
1.混練技術のトラブル対策に関する講演会

(1)日時 4月21日  10時30分-16時まで

(2)場所:高砂ビル 2F CMC+AndTech FORUM セミナールーム【東京・千代田区】

(3)参加費:27,000円

(4)http://ec.techzone.jp/products/detail.php?product_id=4152

 
2.混練の経験知を伝承する講演会

(1)日時 5月19日  10時30分-16時まで

(2)場所:江東区産業会館  第1会議室

(3)参加費:49,980円(税込)

(4)https://www.rdsc.co.jp/seminar/160522

カテゴリー : 学会講習会情報

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2016.03/01 企画を実現する(9)

問題形成や目標設定などの手法については、問題解決法の指南書が多数出版されているので、得意な人も多いかもしれないが、弊社では逆向きの推論を活用した独自の方法論を販売している。
 
ゆえにこの部分についてここでの公開は控えるが、良い企画書を書くための注意点を箇条書きにまとめておくので参考にして欲しい。みな当たり前のことなので少し恐縮するが、高純度SiCの企画をゴム会社のA部長の指導を受け作成したときに習ったことである。
 
1.企画書の作成に先立ち、十分に情報を収集する。その後情報を分類しておく。
 
2.1で分類された情報を、企画書に盛り込む情報と参考情報に分けながら、自分の考えを固めてゆく。
 
3.企画書に盛り込む事項(昨日までこの欄で説明した)を1枚1項目として付箋紙に書き込み、漏れの無いことを確認し、集めた情報に張ってゆく。(クリアケースを活用しても良い。(注))
 
4.企画書の形式が決まっていなければ、企画書のレイアウトを情報のボリュームを参考に決める。
 
5.記入順序を決める。
 
6.見栄えに気をつけてまとめる。
 
7.企画のコンセプト、自分の判断や意見、企画の訴求点をわかりやすくまとめる。
 
8.内容が一目でわかる企画書にする。最初に企画書のコンセプトと結論を持ってくるとよい。
 
9.飾りも重要だが、飾りすぎない。
 
10.当然のことになるが、数字は厳密で無ければいけない。転記ミスや計算ミスを徹底的にチェックする。曖昧な数字を使用しなければいけない場合には、出典等の根拠を明確にする。特に事業性に影響のある数値は、事業推進時に判断のよりどころとされるので、正確を期す。
 
11.大きな企画の場合には、分割して作成するかどうか判断すること。企画書を出すタイミングも重要であり、大きな企画書の場合には、計画を示し分割して提出する知恵も使いたい。
  
(注)今はコンピューターがあるので、紙情報はすべてPDF化し、電子分類する手法もあるが、詳細は弊社の機密事項である。お問い合わせください。

カテゴリー : 一般

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2016.02/29 企画を実現する(8)

企画で全社方針との整合性を重視している指南書は多いが、これは当たり前のことである。そもそも会社の方針にあっていない企画書など、方針管理が徹底しているこの時代に実行されるはずがない。
 
あるフィルム会社では、写真フィルムの市場が急速に縮小する時に新事業を垂直立ち上げするために、自社の技術で「できるもの」と「できそうなもの」にわけて新事業を提案するように社長方針が出されたという。ある意味で大変広い方針でありながら的確である。また、普遍性のある優れた方針だ。
 
全社方針との関係で重要になってくるのは、方針における企画の位置づけと役割を明確にすることである。換言すれば、方針に合っていない企画でも見かけ上方針に合っているように見せかけ立案可能であり、大切な点は、その企画でどのようなイノベーションを見込んでいるのか、方針に沿って具体化することである。
 
そもそも全社方針はイノベーションを期待して出される。ゆえに企画で具体化すべきイノベーションを方針との関係でどのような表現にするか、という問題になる。方針にとらわれすぎて企画を考えるとアイデアが浮かばなくても、日々の問題意識があれば自分の所属している組織で必要なイノベーションについて考えるのは容易なはずだ。
 
ゆえにその必要なイノベーションを方針に沿って具体化して、方針との整合性を取るように考えていった方が迫力のある内容になる。ただし、迫力を狙いすぎてこじつけになるとアウトである。方針管理の下で方針に整合しない企画は、まず通らない。
 
企画テーマから方針との整合性ができあがったら、一度上司に見てもらい、アドバイスをもらうと良い。この部分を後回しにして問題形成から企画立案を始めるとよい、と書いてある指南書を見かけることがある。QC関係の書籍に多いこの方法に当方は反対である。
 
企画のコンセプトが決まっておれば、企画テーマから会社方針との整合性は、すぐに作成可能で、最初にこの部分を上司とすりあわせておくことが大切である。その後、情報を集めて問題を具体化していったら、コンセプトそのものも見直しが必要になり、その結果企画テーマからすべて作成し直さなければいけない事態になってもよいのである。
 
もし情報収集後、当初考えていたコンセプトの間違いに気がついたなら、それも重要な情報の一つとなる。なぜ最初に誤った企画テーマを立案したのかは、新たに形成するコンセプトを練るときに参考とすべき最も重要な情報である。正しい問題を捉えられなかったのだから、そこの問題についても考えておく必要がある(問題解決力が足らないだけならば重視する必要はないが、それはそれで問題である)。

カテゴリー : 一般

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2016.02/28 イノべーションと風俗、文化、経済

市場にイノベーションを起こす良い企画であるほど組織あるいは社会へ与える影響も大きくなる。古い話になるが、チャールズブロンソンをイメージキャラクターに用いた男性化粧品は、かっこいい男のイメージとして市場に大きなイノベーションを引き起こした。
 
化粧品のブランドは「マンダム」だが、会社名は古めかしい「丹頂」だった。大きなイノベーションが引き起こされブランド名が市場に深く浸透したために、会社名をブランド名に変えてしまった。当時「エロイカ」というブランドも登場していたが、チャールズブロンソンの男臭さにはかなわなかった(注)。
 
男の世界が高度経済成長を引き起こし、ジュリアナ東京のボディコン・イケイケ路線でバブルがはじけた、と歴史の流れを捉えると、風俗が経済に与える影響あるいは風俗と経済の相互作用の大きさに驚異を感じるのは当方だけだろうか。
 
この時代の流れの中で、オタク文化はひっそりと生まれており、バブル崩壊とともにオタク文化の爆発が起きている。すなわちAKB48も含め一連のオタク文化は、単一民族である日本独自の文化であるとともに事前に予測できた流れである可能性が高く、次なる風俗や文化の変化を探せば経済の変化も予測可能ではないか。
 
ドラッカーは、社会が経済に影響を及ぼす時代になった、と遺言を残したが、まさにこのドラッカーの遺言は正しく、文化や風俗などの社会変化が現在の経済を動かしている可能性がある。ゆえにイノベーションは市場経済だけでなく風俗、文化の分野でも考えなくてはならない。
 
最近AKB48を卒業するタレントが目立つようになった。AKB48のブームの終焉と捉える評論家もいるが、SMAP騒動が起き、グループブランドというものの大きさを痛感したばかりである。SMAPもAKB48もファンとの価値の共創で生まれた芸能グループであり、もしこれらのグループの人気が低下してゆくのならば、それは文化や風俗が大きな変化をおこす前兆で経済にも大きな影響が出るはずだ。
 
今文化や風俗がどのような変化をしてゆくのか考えることは有効なことで、AKB48の卒業ブームやSMAP騒動はイノベーションの好機を示す現象ともいえる。SMAPはアイドル氷河期に生まれたグループで、個性の異なるタレントを一束いくらで売りだす新しい方法の先鞭をつけた。すなわちアイドル育成方法にイノベーションを引き起こしたのだ。
 
この手法は、バナナのたたき売りへと変化して生まれたのがAKB48である。すると卒業が頻繁に行われるようになった現象は、賞味期限が切れそうなバナナを取り除く、すなわちバナナに対する品質要求が高くなった、とみることもできる。もしこのように考えると卒業だけではオタクを満足させられなくなる可能性がある。
 
何かイノベーションのアイデアが必要で、その新しいアイデアは経済成長のヒントになるかもしれない。今の経済は、そのまま放置すればアメリカも含め悪くなる一方である。アメリカではトランプの登場が、その歯止めを期待されている。日本では、風俗や文化にイノベーションを引き起こし経済に刺激を与える必要がある。
(注)化粧品も臭かった。そのにおいは強烈で、1階上の階段ルームの死角にいる男性の気配を感じることができた、という都市伝説がある。加齢臭など吹っ飛ぶような臭いが歓迎されていた時代もあったのだ。今は消臭がブームで人間が感じない臭いの化粧品が好まれている。加齢臭グッズは必ずヒット商品になる。

カテゴリー : 一般

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2016.02/27 ブリードアウトや混練と配合設計に関する講演会

この3年間、弊社が中国で活動してきました成果を踏まえ、5月までに3件ほど混練技術に関する講演会を開催致します。いずれも異なるセミナー会社で開催されますが、申し込みは弊社で行いますのでご案内をさせていただきます。
 
特に、4月と5月開催の講演会につきましては、今期の予算で処理できない可能性がありますが、弊社に申し込みいただく場合には、「DL版高分子のツボ」を購入していただきますと、その付録として参加証を付けさせていただく形態の販売となります。すなわち、期末の経理処理が可能です。是非ご利用ください。また、弊社へお問い合わせ頂いたお客様には、本講演が他のセミナーと異なっている点(カオス混合の解説)をご希望により事前にご説明させて頂きます。
 
お申し込みは、弊社インフォメーションルームへお問い合わせください。詳細のご案内を電子メールにてさせていただきます。
 
 
1.混練技術のトラブル対策に関する講演会

(1)日時 4月21日  10時30分-16時まで

(2)場所:高砂ビル 2F CMC+AndTech FORUM セミナールーム【東京・千代田区】

(3)参加費:27,000円

(4)http://ec.techzone.jp/products/detail.php?product_id=4152

 
2.混練の経験知を伝承する講演会

(1)日時 5月19日  10時30分-16時まで

(2)場所:江東区産業会館  第1会議室

(3)参加費:49,980円(税込)

(4)https://www.rdsc.co.jp/seminar/160522

カテゴリー : 学会講習会情報

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2016.02/26 企画を実現する(7)

企画書に盛り込むべき事項は、企画の題名、企画テーマ(主題)、企画の狙い、全社方針あるいは会社目標との関係、現状把握、将来予測、問題形成、目標、企画実現方法、代替案、企画が実現したときの効果、おおよそのスケジュールなどである。
 
まず、企画の題名は、分かりやすいものにすること。そして企画テーマが、その題名から誰でも想起できるようであるとよい。ゴム会社で募集された50周年記念論文の審査では、当方の企画「有機高分子から高純度セラミックスを創る」は佳作にもならなかったが、「トン牛」というタイトルの企画は主席となった。バイオテクノロジーにより豚と牛の掛け合わせで繁殖力があり、味もうまい肉牛を研究するという内容であった(記憶違いかもしれないが、このような荒唐無稽の話だった)。
 
あのW大学の先生が審査委員だったが、企画タイトルの重要性を思い知った出来事である。もちろんこんな企画は研究所でまともに取り上げるわけもなく、この論文募集は単なるお祭り騒ぎで終わったが、外部有識者と言われる人のいい加減さに呆れた出来事でもあった。
 
ちなみに佳作にも入らなかった当方の企画は、その後紆余曲折もあり研究開発企画として社長決裁が下りて2億4千万円の先行投資を受け事業として現在まで続いている。50周年記念論文の審査に落ちた(注)ことで燃えたことも、わずかながら企画推進に影響している。
 
話が脱線したが、この例のようにタイトルは極めて重要である。次に企画テーマは、主題を的確かつ簡潔に表現できていなければならない。しかも誰が読んでもわかりやすく書かれていなければいけないので難しい。この部分と企画の狙いで企画書の価値が決まると言ってもいい。
 
企画の狙いでは、何故この企画が必要なのか書くことになるが、長く書いてはいけない。企画が必要な理由を箇条書きで、簡潔に表現する必要がある。タイトル、テーマ、狙いの3つで企画の詳細をどれだけ真剣に読んでもらえるのかが決まるので、この部分は企画を作成しているときに、毎日読み返しながら、よく練る必要がある。
 
関係者にヒアリングするときに書き上げた内容を吟味してもらうのも良い方法である。但し、この時気をつけないと同じ会社内でも他人に企画をとられることもある。そのために会社の風土をよく知っておくことが重要で、最初のヒアリングでは、本当に信頼できる人にとどめるのが良い。
 
企画はコンセプトが重要であるが、同じコンセプトで表現を変えた企画をいくつでも作ることが特許同様に可能である。新しいコンセプトの企画は少なからずインパクトがあり、イノベーションの機会を伺う研究者が多く活性の高い職場では類似のコンセプトで新たな企画を考案する人は出てくる。
 
(注)係長職昇進のための筆記試験問題で、「あなたが推進したい新事業について書いてください」という出題があり、高純度SiCの企画について書いたら、やはり落ちた。採点した試験官は、研究所の課長だったが、その1ケ月後社長によばれ、企画のプレゼンテーションを行ったら2億四千万円の決済が決まり、開発がスタートしている。翌年の試験でも同じ内容を書いたら昇進試験に合格したが、当方の企画に対して研究所で強い反対があったことを知った出来事である。30年以上前の古い出来事だが、企画を実現するには、自己責任と強い意志が必要である。また、ゴム会社における高純度SiCの事業のように、企画段階で反対者が多くても30年以上(社長決済を受けたのは29歳の時である)続いている企画もある。科学者の評価と経営者の評価では視点が異なるのでこのようなことが生じる。21世紀の企業では、このようなことがあってはだめ、と願いつつこの欄を書いている。企業の研究開発に携わる人は、科学者ではなく科学の時代の技術者であるべきである。また、ゴム会社は創業経営者ではなかったが、夢とロマンを共有でき素早い意思決定のできる優れた経営者だった。
 

カテゴリー : 一般

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2016.02/25 企画を実現する(琴奨菊の語る勝利の秘密)

本日企画に盛り込む内容を書く予定でいたが、その前に、2月21日のデイリースポーツで、この10年間日本人力士がモンゴル勢に勝てなかった原因について、琴奨菊が面白い話を語っているのでそれを紹介したい。琴奨菊の言葉を記事からそのまま抜粋すると、次のようである。
 
「私たちは相撲道という道の部分で、変化をせず力と力の勝負とか、そういう固定観念がありすぎなのかなと思う。やはり勝負の世界は勝たないと意味がないし、そういうところにもっと貪欲さが足りないのかと。また、横綱でも、変化まではいきませんが、立ち合いで相手の間合いをずらしたりとか、そういうところを見習っていかないといけない」
 
確かにモンゴル勢は勝ちにこだわる。大横綱の白鵬でさえも、合口が悪い相手に変化した立ち合いをすることがある。例えば、昨年九州場所の栃煌山戦では奇手・猫だましを繰り出し、初場所の栃煌山戦でも、立ち合い直後に手のひらを相手の顔の前に突き出すような動きで白星を手にした(この部分一部記事より抜粋)。
 
 記事によると、琴奨菊は続けて、自分が優勝できた要因として、この白鵬らの勝負へのこだわりを学び、生かしたことを挙げている。
 
「今回、私は逆にそういうところを見習って、張り差しとか、相手の軸をずらすとか、ちょっと引いて相手の軸を前にずらしながら下から入るとか、そういうところも考えてやった結果なので、なぜ(白鵬らモンゴル勢が)強いか分かったような気がします」
 
相撲道を尊重するのか勝利を優先するのか。相撲道から外れる技は自粛すべきという考えは尊い。だが、違う価値観を持った相手が上位にいる現実を前にしたとき、琴奨菊のようにプラス面は取り入れて勝利への突破口を開く努力をするのか(すもう道からはずれる)、ドラッカー流に価値感が合わないから日本人は相撲をやめる(すもう道に適合)のか、といういずれかの選択になる。
 
あるいは、勝負に対する価値感の変化を受け入れるのか、昔からの価値感を守るべき、という価値感を尊ぶのか、という選択肢もある。しかし改めて何が問題か、とこれをとらえれば、国技に外国勢力士を認めたときに、相撲というものの再定義をしなかったことだろう。
 
 今からでも遅くないと思うので、相撲協会は新しい時代の相撲の定義と勝負のあり方に関し、再検討すべきではないか。力士が価値感で悩んでいる状態を放置したままではせっかく上昇してきた相撲人気がまたへこんでしまう。
 
 ドラッカーは、働く時に、強みと、仕事の仕方、価値感の問題をいつも考えなければいけないと指摘している。相撲は力士にとって大切な仕事である。時代の変化で、勝負の価値感の異なる力士が現れた大きな問題を放置して将来相撲の発展はない。
 
本日企画の話を書く予定だったが、企画を推進するときの参考として相撲の話題を出した。例えば、これを日本の技術開発の状況に当てはめてみる。ロジカルシンキングにこだわるビジネスプロセスを日本の大相撲とすると、弊社の研究開発必勝法で提案している、ロジックよりもまず成果にこだわる思考法はモンゴル人の勝ちにこだわる相撲として例えることができる。
 
実は、中間転写ベルトのコンパウンド企画を提案したプロセスとその内容にはロジックの正しさなど無く、そのためコンパウンドメーカーには提案をナンセンスとして却下された。その結果をうけて、提案した当方が現場の一担当者として活動し企画を実現する決心をした。きれいな画像の出る現物を見せたところで周囲もそれを許してくれた。ところが、現物の大切な技術成果であるPPSと6ナイロンの相溶がどのように達成されたのか、その論理的説明などは企画書に書かれていない。
 
このケースで正しいロジックの業務の仕方とは、当時実現されていないカオス混合の企画が専門家であるコンパウンドメーカーに否定されたのだから専門家に技術開発をゆだねよ、という判断かもしれない。
 
中古で調達した二軸混錬機を転用しカオス混合プロセスを完成できたところから書き始め、その設備構成と量産立ち上げのスケジュールを述べた企画は、常識的な日本企業の技術屋が見たならば大笑い(注)されるだろう。
 
しかし、その論理性を欠いた企画で大真面目にデザインレビューを行い、審議(注2)を受けて量産立ち上げに成功している。ロジックでは到底説明できない内容だが、ISO9001に則り粛々と各ステージをすり抜けていった。そして量産では10年近く大きな品質問題もおきていない。
 
企画者の心がけるべきポイントは、誠実真摯に組織へ働きかけ、正しい成果を共有することであり、正しいロジックよりも現物が重要である。ノーベル賞を受賞したiPS細胞でもTVで紹介されたように同様のプロセスが行われている。ロジックにもとづくビジネスプロセスがすべてではない。最近軽視されがちな現物現場主義も見直されてもよい。
 
(注)科学の影響でビジネスプロセスにもロジックの厳密さが求められている。弊社の研究開発必勝法では、ロジカルシンキングは一つのプロセスとして扱っている。しかし、弊社のプログラムの大きな特徴は、琴奨菊の説明にあるように、ロジックよりも勝ちにこだわったヒューマンプロセスを重視する点にある。そしてロジカルシンキングほどではないが少しそのためのルールがでてくる。それは難しいルールではなく、自然な考え方である。ロジックは重要である。しかし一番重要なことは、組織に貢献する直接の成果を出すことである。ロジックが正しくても成果が出なければ、それはロジックで成果が出ない言い訳をしているに過ぎない。
(注2)高級複合プリンターの中間転写ベルトという部品は、有害な有機溶媒を用いる溶媒キャスト法で製造されている。環境負荷低減のためにこれを押出成型で製造する技術は、審議に参加していた人たちの夢でもあった。基盤技術のない会社でコンパウンドから開発するという発想やそのような企画を組み立てるロジックは、考えられなかった。そのため外部のコンパウンドメーカーを信じ開発に苦戦していたのだが、目の前に突然現れたコンパウンドを用いたら簡単に品質目標を実現したベルトができてしまったのである。だれもが、工場を早く立ち上げたいと考えた。ロジックではなく汗というヒューマンプロセスで流れを変えたのである。(汗とは、日々の習慣の象徴)

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2016.02/24 企画を実現する(6)

企画には企画書がつきもので、弊社の研究開発必勝法プログラムでは、わかりやすい企画書の作成方法も指導している。企画書は会社の書類の中でもとりわけ重要な書類の一つで、その取り扱いは機密書類として位置づけられる。また、企画のオーソライズは企画書で行われ、意思決定される。
 
どんなに優れたシナリオやアイデアが頭の中にあっても、それを企画書としてうまくまとめることができなければ、まず、直属の上司すらその内容を評価してくれない。上司は、企画書で企画を評価する立場だが、部下の提案なのでわかりにくくても理解してくれ、という甘えは禁物である。もしそのような甘えがあると、まず直属の上司とのコミュニケーションに失敗する。
 
会社によっては企画書の形式が決まっているところもあるかもしれない。例えばSTAGE-GATE法などを取り入れているところは、審議を円滑に行うために企画書に盛り込む項目を決めている。中間転写ベルトのコンパウンド企画で困ったのは、この企画書のフォームが、研究段階を終えているところから始まっていたことである(注1)。
 
おかげでカオス混合技術は完成品という前提で企画書を書くことになった。これはこれでその後を考えると都合が良かったが、カオス混合技術の検討期間を企画に盛り込むことができず、当方の休日のサービス業務となってしまった。しかし、これすらも貢献を軸に据えて、受け入れたが、私生活は大変だった(注2)。
 
幸いなことに外部で協力してくれる会社もあり、その会社の敷地を借り中古の二軸混練機を設置して、手作りでカオス混合装置を創り上げていった。金も時間も無く、さらに企画書に記入する欄も無い技術でありながら、混練にイノベーションを起こす技術を創造することができた。
 
自慢話はこのくらいで、企画書に盛り込むべきおおよその必要事項は決まっている。これを審議しやすくするために細分化する過程で、その必要事項が落ちたりするので注意しなければいけない。明日必要な記載事項について説明する。(続く)
 
(注1)中間転写ベルトのコンパウンド製造技術(カオス混合技術)の開発企画を最初に提出した部署は、研究部門ではなく、生産技術部門である。だから、開発の終盤ですでに製品化予定などのスケジュールが厳密に決まっているテーマとなった。これは、カオス混合技術の開発というテーマではフェーズが合わないので、提案すらできない状態だったからである。すでにコンパウンド生産技術ができており、生産ライン建設から開発を始めなければならなかった。
(注2)教師の部活顧問のように、ブラック業務と騒ぐことができるのは、まだ幸せである。騒ぐ時間もなければ、精神的ゆとりすらない。必ず成功させる以外にない、道のない一方通行を進まなければいけないのである。高純度SiCの事業化の経験が役立ったが、貢献とは成果に焦点を合わせて行うことである。

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2016.02/23 教師の部活顧問について

国会議員のイクメン不倫騒動もおかしな話だったが、昨日の教師の部活顧問に関するニュースもクビをかしげたくなる。すなわち、教師の部活顧問がブラック業務だというニュースである。
 
教育問題をこの欄で議論するつもりはないが、この10年ほど社会全体がおかしな方向に流れているのではないかと感じていたら、学校の先生がおかしな人ばかりになったようだ。バブル崩壊後失われた10年だの20年だの言われたが、そこから立ち直るのかと思っていたら、日本人の考え方が多様化するだけでなく表現のしようがない状態まで落ちてきたようだ。
 
哲学という高尚な言葉を持ち出すつもりはないが、国会議員のイクメン不倫騒動については、W大学卒の議員の考え方は明らかにおかしく稚拙である。この問題について何がおかしいかは説明する必要はないと思っていたら、教師の部活顧問の問題がニュースで報じられた。これについては、知識労働者が働く意味の点において、少し説明が必要かもしれないと思ったのでこの欄で取り上げてみた。
 
まず、部活顧問の業務がブラックと言い出す前に、教師たちの業務改善をしようという試みが報じられていない点は「労働者の職場問題」として奇妙である。民間企業では、知識労働者について、この30年間に総労働時間1800時間を目標に様々な改善努力を行ってきたが、学校の先生は何もやってきていないのではないか。
 
戦後、教師達の自らの努力でその仕事が聖職ではなくなったが、その次に行う必要があったのは意識と業務改善である。少なくとも当方がPTAとして見てきた義務教育の先生方の業務は、当方が実践してきた労働に比較すると遙かに楽で無駄が多かった。部活の大変さを考慮しても、一般のサラリーマンよりもゆとりがありブラックからほど遠いと感じている。
 
さらに一般企業の労働賃金が減少する中で、教師の賃金はそれほど下がっていない。おそらく部活の顧問の時間を含めても時間給に直した場合に一般労働者の時給よりも高いのではないか。
 
教職の抱える問題は、部活顧問とか教師の雑務それぞれを取り上げても解決がつかないと思っている。聖職から単なる労働者の職業になった教職で考えなくてはいけない問題は、意識革命を含む教職現場の改善である。もし教職に就かれている方がこの文を読まれたら、是非弊社に問い合わせていただきたい。教職の改善方法の指南を致します。
 
教育は、人材を育成することに特化した特殊な職業である。企業でも業務の一環として人材育成が行われているが、その仕事について教師から見れば部活の顧問のような仕事である。写真会社で過ごした20年間は、現在報じられている部活の顧問以上のブラックの状態で人材育成に努力してきた。しかし、アンケートにでてくるような感覚を持ったことがない。
 
組織への貢献として当然の仕事として行ってきたのである。聖職ではない教師を教育する必要がある時代になってきたのかもしれない。教職の教育プログラムに関し、特別価格で請け負いますのでお問い合わせください。教職の問題は、自ら仕事の価値を落としながら意識だけは高い価値の仕事を行っている、と感じている矛盾から大半が生じている。

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2016.02/22 配合設計と混練に関する講演会(参加者募集中)

この3年間、弊社が中国で活動してきました成果を踏まえ、5月までに3件ほど混練技術に関する講演会を開催致します。いずれも異なるセミナー会社で開催されますが、申し込みは弊社で行いますのでご案内をさせていただきます。
 
特に、4月と5月開催の講演会につきましては、セミナー会社に申し込みますと、今期の予算で処理できないですが、弊社に申し込みいただく場合には、講演会参加証が付録となりました「DL版高分子のツボ」配布版その他を購入していただく形態になりますので、講演会聴講料が不要となり大変お得であるとともに、今期の経理処理が可能です。是非ご利用ください。
 
お申し込みは、ぜひ弊社(info@kensyu323.com)へお問い合わせください。詳細のご案内を電子メールにてさせていただきます。コンパウンドメーカー以外の方にもご理解いただけるような内容を準備しています。
 
 
1.混練技術のトラブル対策に関する講演会

(1)日時 4月21日  10時30分-16時まで

(2)場所:高砂ビル 2F CMC+AndTech FORUM セミナールーム【東京・千代田区】

(3)参加費:27,000円

(4)http://ec.techzone.jp/products/detail.php?product_id=4152
 
2.混練の経験知を伝承する講演会

(1)日時 5月19日  10時30分-16時まで

(2)場所:江東区産業会館  第1会議室

(3)参加費:49,980円(税込)

(4)https://www.rdsc.co.jp/seminar/160522

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