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2018.09/10 高分子の劣化体験談

ヘーベルハウスの欠点はヘーベル板に塗装が必要なことだ、と我が家を購入するときに他メーカーの営業から説明を受けた。発泡コンクリートが雨風に弱いことは材料屋として理解していたので、この説明は無用だった。

 

むしろ塗装寿命の短い問題を他社の営業は指摘すべきだった、と思っている。実際に築5年で少し吹き付け塗装の劣化が気になってきた。指で削れてくる部分が見つかったのだ。この吹き付け塗装の寿命が短い問題を指摘してくれたなら外壁塗装のいらない某社に任せていたかもしれない。

 

当方も外壁の劣化が気になるくらいだったから外壁の15年メンテナンスプログラムを受け入れた。この時は、旭化成の技術力を疑っていた。やはり20年以上は耐久してほしい。

 

ところが新しい外壁は、新築時の材料よりも耐久寿命が延び、20年以上大丈夫だと説明を受けた。実際に外壁塗装をやり直してから10年経過したが、以前のように未だに指で削れるようなことはない。旭化成の研究開発成果が出ているのだろう。

 

さて、屋上やベランダの防水シートだが、新築から3年ほどで可塑剤のブリードアウトが完了し、それ以来硬いままだ。この早めのブリードアウトが良かったのかどうか知らないが、営業から劣化サンプルを見せられて、硬くなっていて危険だ、と説明されても、そのような手触りは築3年経過してからずっと同じだと説明したところ黙ってしまった。

 

しばらく考えて、硬くなって変形しだした、と写真を見せて説明してくれた。それは当然だろう。可塑剤がブリードアウトし硬くなれば昼夜の寒暖の差による緩和速度も遅くなるので、変形も起きるだろう。

 

なんやかやと防水シートの劣化の恐怖を営業担当はあおるが、高分子の劣化挙動は当方のほうが詳しいことを知らない。100円ショップの買い物とは異なるのである。車一台の料金になるような交渉事で柳の下の幽霊のような話をされても困る。

 

さて、高分子の劣化だが、教科書に書かれている内容は科学の話だ。もしそれが実際に材料全体で起きているならば、建築材料を高分子で設計することなど不可能になる。

 

それでは現実の高分子の劣化はどのように起きているのだろうか。ヘーベルハウスを購入してから観察してきたが、かつてゴム会社で解明された劣化挙動と同様だった。

 

その内容は、時々一部分ずつ紹介している論文を見かけるが、全体をまとめた話は無いようだ。40年近く経っているのでゴム会社から公開されることを期待しているが、ご興味のある方は問い合わせていただきたい。

カテゴリー : 一般 高分子

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2018.09/09 へーベルハウス

我が家の25年点検が行われた。定期的に築30年までは無料点検を行ってくれる、品質と信頼の旭化成ヘーベルハウスである。25年経った今でも住み心地には満足している。

 

特にゴキブリとの遭遇がめったにない点を気に入っている。めったにないから、稀に遭遇するとご近所に響きわたるぐらいの悲鳴と捕り物騒ぎになる。しかし、ヘーベル板の防音性能が高いのでご近所に知られることはない。

 

学生時代まで過ごした実家では、同居人の様な扱いだったので、捕り物担当は当方に回ってくるが、隙間のない建築物ゆえに取り逃がすことは無い。このようなときに、この建築物の品質の高さに思わず感動する。

 

快適な住まいではあるが、購入時からの不満は、メンテナンスプログラムである。購入時の説明では、15年で外壁塗装、20年で屋根の防水シート交換、25年でベランダ防水シート交換、30年で外壁塗装と無料点検の間に4回も足場を組みメンテナンスする工事が入る。

 

購入時にも文句をいったのだが、工事時期はお客様の判断で変更できます、と言われ、当時おそらくプレハブ建築では最も高かったヘーベルハウス2世帯住宅を建てた。

 

しかし、無料点検サービスがある種の脅迫に近いサービスで、メンテナンスプログラムは、快適な住まいを維持するためにお忘れなく、と言ってくる。

 

当方も年に1回は点検を行い、劣化状況を調べており、15年の外壁塗装はやむなく納得して行った。それから5年経過したところで屋上のメンテナンスを言われたが、異常が無いのにどうしてやる必要があるのか、当方が細かく材料の劣化挙動を説明したところ、パスすることができた。

 

実際に防水シートは築10年で現在の様な状態になり、その後は大きな変化はない。さらに幸運なことは、接合部の下地金具が外れてきたことだ。

 

これは運が悪いと、下地金具が外れずに、防水シートの継ぎ目がはがれる場合がある。おそらく設計段階で経年変化を考慮し、下地金具が優先してはがれるようにしているのだろう。その結果、継ぎ目部分へ応力がかからず耐久寿命が長くなっている。

 

この調子でベランダ防水シート交換までメンテナンス期間を引き延ばしたのだが、今回頭のいい営業がメンテナンスプランを持ってきた。

 

ベランダの防水シートのメンテナンスを少し早めて、屋根とベランダ、そして30年の外壁のメンテナンスを一緒に行うプランだ。こうすれば30年後まで足場を組むような工事は入りませんという。当方が修理を遅らせた結果をうまく利用された形であり、これには負けた。

カテゴリー : 一般

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2018.09/08 今という時代(1)

日本体操協会の塚原夫婦の問題では、この夫婦の人柄を誉める意見も出てきた。ニュースとして流れている情報を元に当方の独断で推定したこの問題の姿を描いてみると次のようになる。

 

誠実さに欠ける人物が若い時の成果で自己実現努力をしないまま社会のリーダーまで上りつめる。老人となったこの人物が、過去の時代の教育で身についた価値観で社会に貢献しようとしたところ、大きく変わった今の時代の多様な価値観を理解できず、唯我独尊で一生懸命行動する。その結果引き起こされたのがこの事件、と言える。

 

塚原夫婦は何がどのように悪いと批判されているのか、恐らく正しく理解できていないのではないか。ただ弁護士から指導されて発言に気を使っているだけに見える。ゆえにワイドショーに出てきてその発言にボロが出てしまい、またそれが批判されるといった状態になっている。

 

ゴム会社でFDを壊されたときに当方が最初に悩んだのは、過重労働までして頑張って、住友金属工業とのJVとして高純度SiCの事業を立ち上げたのに、何故仕事の妨害をされなければいけないのか(FDが壊されたのは1枚ではない)、それを上司に訴えてもなぜ事態の改善をしてくれないのか、という点だった。

 

この時会社は、想定外の隠蔽方向に動いた。ここで当方は自己の置かれた立場とFDを壊した犯人について考えた。犯人は電気粘性流体の耐久問題を一年かけて解決できず、科学的に完璧な否定証明を行った人だった。

 

事情を知らなかった当方は、その人の前でその証明を一晩でひっくり返してしまったのだ。その時問題解決に長時間かかって失敗したなどと知らされてなかったので、悪いことにドヤ顔で成果を見せていた。

 

この時の知らなかったとはいえ自己の無思慮の行動と、高純度SiC事業化リーダーという立場を誠実に自己批判した。立ち上がったばかりの高純度SiCJVを滞りなく継続するためには早期にこじれた事態を収拾しなければならないと仕事中心に反省し判断を下している。

 

当方のFDに犯人しか触れることのできないFDをベタコピーされたたためにデータがすべてなくなり、会議の準備ができなかったため、その事件を会議の席で発表したことは、当方の犯したミスと考えた。

 

犯人は同じ職場にいたので、その日から犯人と被害者である当方は従来と同様に仕事を続けることができなくなった。その結果転職する決断をして事態を収拾している。

 

塚原夫婦の問題においても、まず彼らが辞職するのが誠実な判断であると思われる。また、そうしても皆が納得する年齢でもある。しかし、それでも協会に判断をゆだねる、としている。

 

塚原夫婦は、ニュースで報じられている事実だけで、どのように考えても二人は自ら辞職の判断をすぐに下した方が誠実な人物とみなされる状況なのだが。

 

第三者委員会のリーダーは朝日生命と関係する人と言われているのでどのような結論を出すのか注目したい。

カテゴリー : 一般

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2018.09/07 技術開発における温故知新(1)

技術開発において科学を道具として使いながら科学を絶対視しない方法が今日の時代の技術者に必要である。具体的な方法の一つに温故知新がある。例えばこれでパーコレーションが関わる不易流行の技術を開発した事例を紹介する。

 

酸化スズは、1980年代に起きたセラミックスフィーバーの最中に「絶縁体である」と無機材質研究所で科学的に証明された。透明導電材料であるITOの発見から30年近くかかっている。科学の方法で一つの真理を導き出すには時間がかかるのだ。

 

子供時代に戦後20年式典と称して各種の行事が行われたが、この時20年前の戦争は、はるか歴史の彼方に感じた。ところがセラミックスフィーバーが始まってから30年以上たっているが何故か昨日のことのようである。

 

小学校入学前に名古屋大空襲で壊れた工場の跡地で遊んだ記憶が残っていても、それでも小学校の先生から聞いた戦後20年という言葉は「はるか昔」という響きに似た歴史の世界で使われる言葉だった。

 

セラミックスフィーバーの最中、高純度SiCの事業シナリオを解答として提出した昇進試験で「落ちた」という人事部長の連絡を受け翌日から5日間で高純度SiCの発明を完成させた思い出は昨日のことのようである。

 

この5日間では寝ていた時の記憶が無いほどの過重労働だった、と妻に話したら、誰でも寝ているときの記憶は無いでしょう、と言われ、寝る暇ももったいないと感じた5日間だったと説明しなおしたのは29年前だった。

 

人の心の中における時間の流れとは、まことに非科学的で一定の長さなどないのだ。光陰矢の如し、というが、高純度SiCを必死で開発した5日間の時間の流れは極めてゆっくりと流れていた。そしてそれは今でも昨日のことのようである。

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2018.09/06 就職活動が変わるかもしれない

経団連会長が現状の就活ルールの廃止について言及したことが話題になっている。また、他方では大手企業のインターン制度充実のうわさもある。

 

就職氷河期を脱した今の状況から経団連の意図を推測すると、単純に就職時期の問題だけでなく採用条件にまで影響を与えると予想している。

 

すなわち、現在一般に行われている新卒を一律の初任給で雇用して2年間の新人育成期間を設けている横並び形式を大幅に変更する企業が出てくるように思われる。

 

例えばインターン制度の中で従来の新人育成プログラムを稼働させるとどうなるか。この方法の利点は、従来採用してから新人育成プログラムを行ってみて育たない新入社員がいた場合にクビにできなかった問題が解決される。

 

すなわち、インターン制度なので、将来成長しそうにない社員を雇わなくてよいメリットが生まれる。あるいは、インターン制度期間中の実力をみて採用時に処遇格差をつけることが可能となる。

 

優秀な学生には採用時に外資よりも高い金額を提示し、確実に人材確保ができるよう対策をとれる可能性も出てくる。単純に労働力としての人材が欲しいのであれば、従来のままの初任給を提示すればよい。

 

おそらく学生は休み中に遊んでいる時間をとれなくなる可能性がある。また、大学のカリキュラムだけでは、高給を得るチャンスが無くなるので、学生時代から実務の勉強をはじめなければならなくなる。

 

もっともバブルがはじけても休み中に遊んでいる学生が多い学園風景が今も変わらないのはむしろ異常であり、ワークライフバランスに対する誤解も改善されるのではないか。

カテゴリー : 一般

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2018.09/05 基本

「私はずいぶん前から、この風潮に異論を唱えてきた。私の持論は「まず、素振り」。物事は基礎、基本、応用の順に学び、繰り返し、体にしみ込ませていく。素振りはバッティングにおける“基礎”だ。この基礎を飛ばして先に進んだり、フォームが崩れたとき、この基礎に立ち戻らなかったりするのは、間違っていると思う。」

 

これはスポーツ新聞のWEB版から見つけた野村克也氏の言葉だ。これは技術開発でも同様であり、素振りに相当するのは、現象の観察及び現象の体験である。現象の観察は科学でも重要であり、科学と技術の共通する基礎である。

 

小学校から観察の仕方を習う。また、小学校の宿題ではファーブル昆虫記の読書感想文を書かせられる。もしこうした基本をおろそかにしている小学校は、教師を減給処分にすべきだろう。

 

当方の小学校時代は運がよかった。科学教育に関心が高い社会が時代背景としてある。今のように教育の目的が曖昧となるような社会ではなく、科学教育という一本筋が通った時代だった。

 

授業でも毎週理科実験があった。また、高学年になれば、中学校の先生が講師を務める日曜理科教室に参加できた。教育で実験という現象の観察と体験を取り入れるのがカリキュラムとして当たり前の時代だった。

 

それが、教師への負担軽減やゆとり教育の流れの中で、科学の基本を忘れた教育が行われるようになっていった。子供の授業参観でびっくりした。科学教育も様変わりし、知識偏重になっていたのだ。

 

ひどいのは、実験をビデオ鑑賞で済ませているところだ。実験を実際に行うのと、それを見るのとでは、得られる効果が異なる。阿波踊り同様に実験をしなければ、損である。時間の無駄である。

 

実験を指導できないので、せめてビデオだけでも、と考えている先生がおられるなら、それも間違っている。2時間ビデオを見る効果よりも20分の実験で得られる体験の方がはるかに将来のためになる。実験は見るモノではなく、自らすべき行為だからだ。

カテゴリー : 一般

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2018.08/31 体操協会の問題

昨日体操協会のパワハラ問題の記事を引用して取り上げたが、予想通りの大混乱になっている。いけないのは塚原氏が円満解決を考えた発言をしていないことである。「全部ウソ」と全否定の発言をしている。

 

本件、コーチのパワハラ問題が表に出てから奇妙な印象を受けていた。当初マスコミは、被害者がパワハラと感じていなくても暴力をふるっていたらパワハラで、自浄作用のような行動にみえた体操協会を英断としてたたえる記事もあった。

 

しかし組織の問題で人生が大きく変わった経験をもつ当方には、コーチの処分が厳しすぎるように思われた。また、調査も不十分であり、いかにもコーチの処分ありきに見え、単純なパワハラ問題ではない予感がした。

 

昨晩からマスコミは過去の女子体操選手の採点トラブル問題まで取り上げ始めた。しかし、コーチの処分の時に迅速に動いた体操協会は、今回のマスコミの動きに対して鈍い。これがますます疑惑を深めている。

 

騒動が今後どのような展開になるのか予測がつかないが、なぜ当事者は円満解決を目指さなかったのか疑問である。塚原氏はなぜ女子選手の発言を全否定するのだろうか。

 

実は腐った組織の場合には、円満解決を目指そうとしても誠実さが無い当事者のためそれがうまくできないものである。やがて大事件まで発展し、取り返しのつかない事態になって第三者や社会の努力により収束してゆく経過をたどる。

 

組織のリーダーは誠実な人物を選べ、とドラッカーは述べているが、**ハラスメントのような問題解決には誠実な対応が第一である。誠実なリーダーでなければ今回の様な問題を解決できない。

 

 

カテゴリー : 一般

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2018.08/30 体操協会のパワハラがおかしな展開に

体操女子で16年リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江(18)が29日、都内で会見を開き、世界選手権(10~11月、カタール・ドーハ)の代表候補を辞退し、今季は試合に出場しないことを明かした。

 

(中略)

 

宮川は21日、暴力行為で日本体操協会から無期限の登録抹消などの処分を受けた速見佑斗コーチへの見解について、代理人弁護士を通じて発表し、処分への疑義や、引き続き同コーチの指導を望む意向を示し、直筆の文書で「金メダルという目標は速見コーチとだからで、他のコーチとでは私の望むことではないし、意味がありません。パワハラされたと感じていません」などと記していた。

 

以上は、スポニチWEB版の記事からの抜粋である。

 

その後、下記記事が公開された。

 

体操女子で16年リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江(18)が29日、宮川への暴力により速見佑斗コーチ(34)に日本協会が科した無期限登録抹消などの処分に疑義を示した問題で会見を開いた。冒頭のあいさつで、宮川は日本協会の幹部からパワハラを受けていたと主張した。

 

さらに

 

速見コーチが処分を受ける前の7月中旬、日本協会の塚原千恵子女子強化本部長、夫で日本協会副会長の塚原光男氏に呼び出され、「(速見コーチに)暴力の話が出ている。認めないと厳しい状況になる。あのコーチはダメ。だからあなたは伸びない。私なら速見コーチの100倍教えられる」などと言われたという。

 

詳細はスポニチWEB版をご一読願いたいが、少なくとも公開された記事から見えてくるのは、コーチによる有能な選手の奪い合いである。

 

建前はパワハラだが、報じられている事実はあまりにも醜い。コーチによる暴力が良くないことは当たり前だが、有能な選手を奪いあう構図は問題である。

 

誠実に選手のためや組織の反映のためを考えるならば、速見コーチの指導がトップの仕事であり、罰することではないはずだ。今回の流れを見ていると、速見コーチを追放することが先にあり、人材育成の視点が欠けているところが組織の問題として浮かび上がる。

 

まず、追放という処分の前に暴力を用いた指導を辞めるように体操協会は指導した、という報道が先に無ければいけないが、いきなり追放である。過去の暴力を引き合いに出して追放という処分に何か胡散臭さを感じていたところ今回の報道である。

 

今回の問題は、全員が丸く収まるような解決の仕方を目指すべきだ。それは妥協ではなく、選手の将来を大切にした円満解決である。速水コーチを元の地位に戻しても問題ないのではないか。大切なのは暴力追放であって、速水コーチ追放ではないはずだ。

 

もし、協会のメンツなどを気にして円満解決を図らないとしたならば、それはまさに協会そのものがおかしなことになっている証と思われる。

 

宮川選手は実績もあり、東京オリンピックにおいて活躍が期待される選手である。もし彼女がこのまま消えるようなことになったなら、それは体操協会の責任である。一人の選手の問題として甘く見ていると今後体操協会を揺るがすような大きな問題に発展する。組織の問題とは、そのような性質である。

 

 

 

 

 

カテゴリー : 一般

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2018.08/29 スピーカー(3)

26日日曜日の試聴会では、B&Wのスピーカーも音工房Zのスピーカーもツイーターは、高剛性タイプであり、前者は蒸着ダイヤモンド製で後者はマグネシウム合金製だった。

 

この二つのスピーカーを聴き比べた限り、音の分解能は同等に思われ、いずれのスピーカーも楽器の輪郭を明瞭に描いていた。ただ面白かったのは音楽ソースによりその聞こえ方が少し異なったのだ。

 

(この差は、前回の視聴会で用いられたB&Wの40万円前後と今回の100万円以上の同社のスピーカーとの差よりも大きい、と感じた。同世代のB&Wのスピーカーを同じ再生装置で比較試聴すると、価格の差を感じることができる。ゆえに前回のB&Wのスピーカーが良く聞こえたのは再生装置のセッティングの影響が出たのではないか。前回も今回も音工房Z社の同じスピーカーが比較対象に使われている。こうしたことを考えると高級スピーカーは、その使用環境の影響を大きく受けるロバストの低いスピーカーとなる。)

 

これはどちらが良い、悪いの差ではなく、頭の中に描かれる音のイメージの好みになってくると思われた。当方が聴いた限りではどちらのスピーカーでもよい、と感じたが、この比較試聴の後、5000円の雑誌の付録のスピーカーの音を聴かされてびっくりした。

 

スピーカーの箱は音工房Zの設計及び製作によるものだが、低音の量感こそ負けていたものの音の分解能に関しては、同等以上だった。

 

おそらく小音量で聴いたならばその差は無くなるのではないかと思われ、高価なスピーカーが良いだろうと漫然と考えていたので冷や汗が出てきた。

 

小口径スピーカー1発から出てくるその新鮮で繊細な音は、明らかに比較試聴した二つのスピーカーとは異次元の音だった。すなわち少しまろやかで耳に気持ち良かった。

 

オーディオ用のスピーカー選択で難しいところは、高いスピーカーを購入すればそれで満足できるわけでもなく、長時間聴いて疲れず満足できなければいけない。

 

高級スピーカーでも長時間聴いていると何か疲労感の出てくるスピーカーもある(この点でJBLのスピーカーは優れている、と思う。今時の音ではないが、長時間聴いていても疲れない。ナンクリの表現はこの点を理解できるとバブル時代の物欲小説として鑑賞できる。)。長時間何か他のことをしながら音楽を聴くならばBOSEの安いスピーカーで十分である。

 

日曜日大きな収穫として100万円以上のスピーカーでも完璧ではないということを比較試聴でわかったことだ。

 

音楽をオーディオで再生するときに、まず録音した時のマイクの品質の問題があるはずだ。次に得られた音源を販売用に加工するときのエンジニアの技量が影響する。また、ミキサーの性能も影響する。

 

そして再生装置最後の出口のスピーカーの性能差となるが、音のソースにおいて既に問題を抱えているので、出力だけ完璧にしても演奏者の楽器から出ている音そのものを聴けるわけでもない。

 

昔はエレキギターとアコースティックギターの差がわからないようなスピーカーもあったが、最近そのようなスピーカーを聴いたことが無い。

 

この考え方に立てば、音楽を聴いて自分が満足できるスピーカーなら何でもよいことになる。このようなことを書いたらオーディオマニアの人に怒られるかもしれない。

 

実際に、仕事をやりながら一人でジャズを聴いていると、その音の分解能が低かろうが無関係である。キーボードをたたく手にうまくビートが合えば気持ちよく仕事が進む。

 

(注)40年前のオーディオブームでは、再生装置も含めその技術革新の様子がよく分かったが、それは同じ音源でも全く別物に聴こえる様な技術差があったからだ。今販売されている装置では、楽器の音を聴き間違えることはない。数年前、題名のない音楽会でバイオリンの名器の聴き比べをやっていたが、その差が視聴者に伝わるぐらいの性能が現在のオーディオ装置の性能である。もう十分な性能と思っている。

 

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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2018.08/28 スピーカー(2)

昨日の続きだが、高級スピーカーと呼ばれるものには、かつて何となくクリスタルで話題になったJBLがあるが、最近は人気が無い。

 

このJBLスピーカーの特徴は大口径のウーファーとホーンスピーカーで音楽を壮大に聞かせる。しかし、デジタル化により、アンプの出力向上やSN比の向上により、高能率のスピーカーよりも繊細な音表現が好まれるようになった。

 

B&Wのスピーカーはまさにそこを狙ったスピーカーで能率は低いが音の分解能は高い。昔はソフトドームスピーカーをはじめとして、高域を駆動するスピーカーの材料は絹など軟らかい材料が用いられていた。

 

本来は高剛性で高周波数領域で内部損失の大きな材料がよいのだろうけれど、これは材料物性として二律背反となる。最近はアルミニウムやマグネシウムを用いてそのような材料加工ができるようになった。

 

B&Wは、アルミニウムやマグネシウム製の高剛性材料をツイーターに用いて成功した会社である。この会社の高級品はダイヤモンドを蒸着したツイーターが使われているが、蒸着ダイヤモンドは単結晶よりも少し弾性が落ちる。

 

今では分解能が高いと言われているスピーカーの多くは金属製のツイーターを用いている。ダイヤモンドでなくても聴感上変わらないのでわざわざダイヤモンドを使用しているのは、いかにも、という印象を受ける。

 

日本にはダイヤトーンというブランドが昔あったが、ダイヤモンドではなくボロンを使用したツイーターを過去に開発している。ボロンも硬い材料だ。ツイーターは硬い材料が良いのだけれど材料の固有振動数の問題で昔は柔らかい材料しか使えなかった。

 

ダイヤモンドを使用していないダイヤトーンよりも有名ではないが、日本を代表するスピーカーメーカーの一つフォステクスは、金属製の振動板を用いたウーハーやスコーカーを用いた高級スピーカーを販売しており、高級スピーカーメーカーの仲間入りをした。

 

ここは、スピーカーユニットを部品として販売しており、スピーカーの自作ユーザーには無くてはならないメーカーだ。最近B&Wの技術者が立ち上げた台湾のマークオーディオは、金属製の振動板を得意とするパーツメーカーの一つだ。

 

金属単体の振動板ではないが、金属をウーハー材料として最初に用いたのは日立LoDで、1970年代にアルミ箔とパルプのサンドイッチ構造の振動板を開発している。

 

パルプとサンドイッチにして材料そのものが振動するのを防いでいるが、硬い材料と柔らかい材料を複合化する手法が防振材料として使われるようになった時代である。

 

老舗のオンキョーは、金属とパルプのハイブリッド振動板をツイーターに用いたブックシェルフスピーカーを同社のハイエンド製品としている。

 

なお、最近話題のセルロースナノファイバーを最初に実用化したのはオンキョーで、ウーハーの素材に味の素の菌セルロースをスコーカーとかウーハーにかなり以前から使用している。

 

このハイエンドスピーカーは日本を代表する名器だと思うが、1台17万円と良心的な価格である。最近発売された同社のハイエンドホーンスピーカーよりも音楽を雄大に聞かせてくれる(明日に続く)。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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