この数年黒がブームである。町中が黒い車であふれています。昔黒い車と言えば高級車の代名詞でしたが、今は高級車でなくとも黒が使われています。その黒もよく見ますと、車の種類によりまして微妙に異なっています。
車以外もピアノブラックという黒が流行したおかげで、身の周りに光沢のある黒があふれています。樹脂の射出成形体であれば、PCベースのポリマーアロイです。主流はPC/ABSですが、この樹脂は、PCにABSをブレンドし、靱性をABS並みに改良しています。ただ、PCを使用していますので価格が高いのが難点ですが、射出成形一発で光沢のある高級外観が得られます。
約半世紀ほど前にABSという樹脂が登場し、電気製品はじめ身の周りにある製品の外装の多くはABSに置き換わりましたが、今はPC/ABSに置き換わっているように見えます。またPCという高級樹脂も上市されたときの4割前後の価格にまで低下してきています。
PCは光学特性が優れていますので高級外観を得やすいですが、PC以外にもポリエステル系樹脂はその光学性能からPCと同様の効果を期待できます。しかし、射出成形性とのバランスが難しく価格がPCよりも安いにもかかわらずPETのブレンド品がなかなか登場しません。PETのポリマーアロイでもPCと同様の高級外観が得られますが、難燃化の技術が難しくさらに射出成型性という特性とのバランスをとることも難しいので技術開発が進まないのでしょう。
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カテゴリー : 高分子
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事故が相次ぐボーイング787ですが、Liイオン二次電池が発火するトラブルもあったそうです。ニュースで知って驚いたのは事故の事実よりも航空機にLiイオン二次電池が採用されていたこと。航空機には各種厳しい規格があり、その規格を通過できるLiイオン二次電池ができたことにびっくりしました。
エネルギー貯蔵デバイスは基本的に使用法を誤ると爆発する可能性があると言われています。エネルギー密度が高いLiイオン二次電池ならばその可能性が高くなるわけですが、航空機の規格を通過できる電池の登場は、経済性さえ改善されれば、一気に二次電池の市場がLiイオン二次電池に置き換わる可能性が出てきたわけです。
すなわちLiイオン二次電池の現在の一番の問題は経済性ということになります。Liイオン二次電池に関係する冗談で、材料メーカーの幹部が海外出張に行くときに、電解質メーカーの幹部はファーストクラスに乗るが、あとはエコノミークラスに乗る、というのがあります。これは電解質メーカーが一番儲かっていることを揶揄した冗談ですが、電解質の安全性と経済性は非水系電池で相反する関係になります。
30年ほど前にセミソリッド電解質を研究したことがありますが、溶媒で膨潤させたゲルを用いたとしても溶媒の蒸気圧はそれほど変化しません。全く溶媒を用いないときには電池の内部抵抗が高くなるので放電容量へ影響が出ます。イオン導電性を上げるためにどうしても可燃性低分子溶媒で膨潤させる必要がありました。最近は難燃性あるいは低蒸気圧のイオン性液体も登場しましたので30年前と異なる電解質の設計が可能となりました。安全性と経済性の高い電解質はLiイオン二次電池の重要なテーマの一つでしょう。
カテゴリー : 電気/電子材料 高分子
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ホスファゼンの研究が最も進んだのは1970年代で、アメリカのDr.オールコックや日本の梶原鳴雪先生らにより精力的な研究が進められ、その特徴や考えられる応用分野が明確になりました。ファイアーストーン社で、耐熱性と耐寒性の優れたホスファゼンゴムが開発され、宇宙船ジェミニに初めて実用化されました。
ホスファゼンゴムはシリコーンゴムと同程度の耐熱性ですが、Tgはシリコーンゴムよりも低く、宇宙空間での使用には最適です。また難燃性もシリコーンゴムより高く、おそらく特殊ゴムとしては物性のバランスが優れたゴムだった、と思います。ただ値段はすこぶる高く商業的には成功しませんでした。
ホスファゼンは、P=N結合を持つ化合物群の総称で、PNが3つの6員環構造が有名で、無機ベンゼンと呼ばれていました。実際に気持ちの良い独特の香りがしますが、匂いをまともに味わいますとあとでひどい目にあいます。絶対に匂いを嗅いではいけません。
面白いのは、ホスファゼンポリマーの高分子量体を得たいときには、この6員環化合物を開環し重合させるルートしかない、ということです。直接ポリマーを合成するルートも開発されていますが分子量を上げられません。また、環状化合物の塩素をすべて有機物に置換した場合には開環重合しなくなります。
環状化合物のまま重合する試みもされましたが、開環重合したポリマーよりも耐熱性が低く実用化されていません。しかし、有機高分子を変性するには便利で、様々なコポリマーが検討されました。
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射出成形や押出成形、あるいはブロー成形において使用される樹脂には、耐候剤や難燃剤などの添加剤が必ず添加される。また導電性や熱伝導性を上げるために無機フィラーを添加する場合もある。
こうした添加剤の影響で樹脂本来の性質は変化する。樹脂がポリマーアロイであっても同様である。ポリマーアロイの場合には相分離構造も影響を受ける場合も出てくるので単一組成の場合よりも複雑になる。
添加剤による物性変化で見落としやすいのが靱性のわずかな変化である。たとえばアイゾットやシャルピーなどの衝撃試験を行い、規格値に入れば安心する。衝撃試験などはばらつきが大きい試験なので、多少平均値が下がっていても規格値内ならば問題としない場合が多い。
しかし同一条件で成形体を製造したのに物性が変化するのは、何か原因があり、その原因を明らかにしておかなければならない。樹脂を自社で成形している場合には問題が起きる確率は低くなるが、コンパウンディングした会社から外へ出た瞬間に問題が起きる確率が高くなる。
靱性は把握しにくいパラメーターではあるが、他の力学物性の動きと組み合わせてみるとおおよその理解ができる。例えば靱性が低下した場合には、強度も低下しているはずである。SSカーブには強度低下に対する靱性の効果の情報が表れている。しかし靱性が低下しているのに強度が上がっている場合がある。多くは弾性率が変化している。問題は弾性率がどうして変化したのか、という原因である。
添加剤による靱性のわずかな変化は、ばらつきの中に隠れてしまうことが多いが、お客様のところで大きな変化となって現れることがある。実験室で原因を把握しておかなければ、致命傷となる場合もある。ばらつきの大きい評価方法しか知られていないので注意が必要である。
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20世紀末にアメリカのウトラッキーにより、伸長流動装置が開発された。それは二軸混練機の先に取り付けるだけで、樹脂に効果的な伸長流動を発生させ、ナノオーダーの高次構造を作り出す装置です。
21世紀に入ると、高分子精密制御プロジェクトが国研で推進されこの装置も検討された。しかしこの装置は、大量の樹脂を流すことができず、生産性が悪いので普及しなかった。このプロジェクトではL/Dの大きな二軸混練機や高速剪断装置も検討されたが、いずれも実際の生産に用いられていない。
伸長流動というのはお正月に食べるお雑煮の餅を食いちぎる時のようにながーく引き伸ばされて切れる状態と同じように進行する剪断流動と並んで重要な混練プロセスで発生する力です。剪断流動が引きちぎられるような状態であるのに、伸長流動はながーく引き伸ばされなければならないので、この感覚表現だけでも、効率が悪いプロセスになることは想像がつきます。
剪断流動のほうが効率よく混練できることは昔からわかっていましたが、高分子の高次構造がミクロンオーダーまでの混練しかできないので、伸長流動に注目が集まったわけです。しかし、国研で同時に検討された高速剪断装置ではナノオーダーの構造が達成されていましたので、剪断流動だからナノオーダーの構造を作れない、というわけではないのです。
装置を工夫して高速剪断装置と同じような機構を効率よく実現すれば、ナノオーダーまで混練できる量産装置ができます。5年前すでにその1号機は稼働し量産に使用されており、20世紀に開発されたどのような量産型混練機を用いても達成できなかった混練レベルを量産機で達成しています。
高分子材料のツボには、これまで公開された先端の混練技術の一つカオス混合として紹介しております。ご興味のある方はそちらをご覧ください。
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コーティングのプロセスコストについて質問を受けました。コーティングプロセスはハイテクというイメージからのようです。申し訳ないが製造条件のデータが無ければ答えられない、と回答しました。実際に平方メートルあたり1円以下から10万円以上までピンからキリまであります。生産量と生産設備の関係で決まるのは、混練や射出成形などのローテクと思われている技術と同様です。
おおよその設備金額は当方もわかりますので、問題は生産量となります。生産量が少ない場合には外部に委託したほうが有利なのは、他の製品と同じです。委託費用も生産量で大きく変わります。コーティングの世界は設備が高価なので可能な限り老舗に頼んだ方が安くなります。フィルムならば平米あたり2円以下で出来る場合もあります。
すでにアナログ銀塩写真フィルムの市場は縮小し、現在2社しか生産していませんが、写真フィルムでさえもプロセスコストの占める割合は少なく大半が材料費です。大変付加価値の高い商品だったわけです。ゆえに某フィルム会社は往年の大スター2人を起用したCMを派手に展開できる資金力があるのです。ちなみにカラー写真フィルムの場合には10層前後の多層同時塗布技術など高度な技術を用いて乳剤層をたった1回で塗布する技術によりコストダウンを達成しています。
技術開発には製品の付加価値を向上するための技術とコストダウンするための技術開発があり、後者も結果として付加価値を上げているのですが、技術開発センスは少し異なるものが要求されます。両方経験してみると理解できますが、技術者としてのスタートをコストダウンの技術開発を重視する会社で働けましたのは幸運でした。市場が拡大すればどのような商品でもコモディティー化するのは宿命ですので、商品開発の初めからコストダウンを前提としたプロセス開発が重要になります。それにはノウハウが必要です。
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帯電防止性能を評価する方法として表面比抵抗は一般的に使用される評価技術である。しかし、同じレベルの表面比抵抗でも帯電防止性能として大差が出る場合がある。実技試験と表面比抵抗とが対応しない点について以前説明したが、同一組成の材料で測定された表面比抵抗が同じでも帯電防止性能に差がでることに不思議に感じられるかもしれない。
これは、導電性微粒子を分散した場合でも、界面活性剤を使用した場合でも同じ原因ですが、パーコレーション転移が影響しています。すなわち導電性発現物質のクラスターの構造が違っても表面比抵抗が一致する場合があり、そのような場合に帯電防止性能として差が出ます。これは、低周波数領域のインピーダンスを評価すると差が出るので理解できます。
すなわち直流の抵抗成分が同じでも容量成分が異なると帯電のしやすさに差が生じる、ということです。この差は厳密な帯電防止性能を要求される分野では大問題となることがあります。アナログからデジタルに変わり、今は使用されなくなった印刷感材の分野で起きた品質問題がこの原因でした。すなわち現像処理されたフィルムが自動搬送されるときに途中で静電気が原因でフィルムが付着し、工程を止めてしまった問題です。すべてのフィルムで起きたわけでなく、再現をしないこともあり、原因究明が難しかったのですが、問題を起こしたフィルムのインピーダンスを評価し、現像処理でクラスターの構造が変化していることが分かりました。
市場の品質問題は商品の信頼性と直接関係するので、ユーザーへの対応を誤ると命取りになります。そのために市場の現象を把握できる評価技術開発は不可欠で、評価技術以外に材料設計技術も確立しておかなければなりません。商品開発でよくやる間違いは、既存のスペックで市場の問題を包含しているという誤解です。商品スペックと技術の評価技術が一致する場合もありますが、商品スペック以外に、材料設計技術を理論的に評価できる技術が必要です。
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OCTAは元東大教授土井正夫先生(以下土井先生)が名古屋大学教授の時にリーダーをされたプロジェクトで開発された高分子シミュレーターである。OCTAという名前は、名古屋の市のマークからとられたというから遊び心があります。このOCTAには、そのほかにPASTAとかSUSHIとかいう名前のついたシミュレーターが用意されている。すなわちOCTAはいくつかのシミュレーターの寄せ集めで、高分子の高次構造、メソフェーズ領域のシミュレーションをシームレスにできる工夫がされている。
OCTAの産業界における評価はあまりよくないようですが、これは各種シミュレーションに対するアレルギーのようなものと思います。OCTAはフリー版がありLINUXやWINDOW環境で使用可能です。オブジェクト指向の簡易言語によるプログラミングが必要になりますが、現在の高分子物理の成果がつまったシミュレーターを無料で利用できると考えるとすごいことです。しかもマニュアルの日本語版は情報が豊富で勉強になります。
OCTAについては、高分子材料というものがプロセス依存の大きい材料であることを考慮すると、大変よくできたシミュレーターと思います。すなわちプロセスの影響が少ない高分子材料の現象をシミュレーションするときには結構便利なシミュレーターです。あるいはシミュレーションの結果とプロセスの効果を比較する応用分野にも便利なシミュレーターかもしれません。このような分野に難燃材料の配合設計があり、SUSHIを用いてシミュレーションを行います。SUSHIを用いなくとも、高分子材料のツボに書かれた内容だけでも手作業でシミュレーションできますから、SUSHIを使いこなさなければ、できないというわけではありませんが、唯一χの温度依存性だけはSUSHIが便利です。χだけでなく他のパラメーターも計算でき、参考になります。
高分子材料のツボセミナーでも説明していますが、SP値を使い、高分子や低分子の分散状態を予想することができます。高分子材料の難燃化では、炭化型であれば難燃剤の分散や溶融型であれば低分子あるいは溶融しやすい高分子の分散状態が影響しますのでこの予想は材料設計で有効に活用できます。特にポリマーアロイの難燃化では、SP値の寄与は大きく、リン系難燃剤の添加量で最大20%程度変化すこともあります。換言すればSUSHIで難燃剤で影響を受けるコストアップを20%減らすことができる、ということです。
ただし分散の問題はプロセスの影響を受けますので20%も成果が得られない場合もありますが、相溶の関係をうまく設計しますとこの影響も小さくできます。あるいは、カオス混合を用いますとシミュレーションの結果をうまく再現できる傾向が出てきます。このあたりは書きづらい部分もありますのでお気軽に高分子材料のツボセミナーや誰でもわかる高分子に書かれたアドレスに質問していただければお答えいたします。
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高分子の難燃化技術についてこれまでの経験を公開していますが、要点をまとめておきます。大別して溶融型と炭化型があります。前者は、燃焼時にドリップしやすい高分子に有効です。ただしUL94-V2レベルまでの難燃化が限度です。LOIは21以下でも難燃レベルになる手法です。後者は炭化促進剤を添加し、LOIを21以上に設計しますと高分子を難燃化できます。UL94-V2以上も材料設計で狙えます。
溶融型では溶融物ができることで難燃化していますから、高い難燃化レベルの達成は至難の業となります。高い難燃化レベルを狙う場合には炭化型以外に方法が無く、溶融しないように材料設計するため、フッ素系高分子を1%前後併用したりします。溶融型ではLOIとの相関は低いですが、炭化型では難燃化処方とLOIとの相関は高く材料設計がしやすいです。炭化型ではLOIを21以上に材料設計し、ターゲットとする難燃化規格にに通過するよう難燃化処方を調整する、という手順になります。
具体的な難燃化処方は、酸化アンチモンとハロゲン系化合物の併用あるいはリン系化合物というのが一般的です。30年ほど前から大きな技術の進歩はありません。同等レベルの難燃性を得るための難燃剤成分の添加量(体積分率)でみた時に、酸化アンチモン系が一般的に少ない量で達成できますが、ポリウレタンに限定すれば(実験データが無いので他の系は不明)リン酸エステルとホウ酸エステルの組み合わせは酸化アンチモン系難燃剤よりも低添加量にできます。ホウ素原子は環境問題から使用しにくくなりました。
高分子の難燃化技術開発で難しいところは、難燃剤成分の分散状態が難燃性だけでなく他の品質に影響を与える問題です。ゆえにリン酸エステル系や酸化アンチモン系システムを使用できない場面も出てきます。そのような場合には水酸化アルミニウムのような金属水酸化物を30vol%以上も添加しなければいけない場合も出てきます。新しい難燃化技術か期待されるところですが、1970年代に研究された成果を見る限り、酸化アンチモン系あるいはリン系難燃化システム以外に低添加量で高分子を難燃化できる技術は無いようです。
難燃剤を添加しなくても難燃性の高い耐熱性高分子を使用するというのもよい方法ですが、物性とコストを考慮すると使用できる領域は少ないです。フェノール樹脂はコストも低いので物性を改良し用途を広げる研究がもう少し活発に行われてもよいように思います。フェノール樹脂の面白いところは高次構造で難燃性が大きく変化するところです。他の樹脂とのポリマーアロイ化で難燃剤を使用せずに難燃化できるポテンシャルがあると思います。例えばPETではUL94-V2レベルをフェノール樹脂との併用で難燃剤を添加せず成功しています。高分子の難燃化を目標にポリマーブレンドをアカデミアで研究していただけたら、と思っています。
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押出成形は、押出機で金型へ樹脂を押し出し、フィルムやベルト状、スティック状などの単純な形態を連続で成形する技術です。
光学用フィルムでは、表面の欠陥だけでなくフィルム内部の欠陥も問題になります。半導体フィルムではフィルムの導電性の分布の均一性が問題になります。単純形状の成形ですが、射出成形とは異なる難しさがあります。特に押し出した後冷却や延伸以外になすすべもないので、表面欠陥の問題は解決が難しい問題になります。
例えば、表面に小さなボツができた時にその原因が成形技術にあるのかコンパウンドにあるのか決定することは難しいですが、ボツの分析を行うと発生原因を推定でき決定することができます。しかし、ボツの分析を行って、異物が見つかれば異物の発生原因を追究し対策を打つことができますが、ボツ周辺に何も見つからないことがある。
このような場合にコールドスラッジが疑われるのですが、コールドスラッジは分析を工夫すれば原因として見出すことができます。しかし、どのような分析を行っても原因がわからないボツというものが存在します。これまでの経験でこのようなボツは混練工程に対策を打つのが有効と考えています。
すなわち原料の樹脂の見直しや混練条件の見直しです。混練条件につきましては、活動報告でも書きましたようにこれまでの二軸混練機では限界があり新しい混練技術を使用しない限り解決できない場合もあります。
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