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2014.08/24 ボディーアートフォトコンテスト

「JAPAN Face Painting & Body Art Show 2009」という珍しい大会が2009年9月22日に開催された。たまたまインフルエンザの世界的流行でアーティストの欠席が相次ぎ、芸術学部に入学していた娘に飛び入り参加の要請があった。

 

ボディーアートなど未経験の娘であったが、参加したいと相談してきた。20歳になっても父親に相談してもらえる、と喜んでいたら、写真家と組んで参加するという大会規程があるので一緒に参加して欲しい、という内容であった。相談内容には、少しがっかりしたが、父親と一緒に出たい、という言葉に動かされた。

 

大会の様子は今でも「 http://2011.japanbodyart.com/2009/」で見ることができる。この大会では、ボディーペイントのコンテストと同時に会場の様子を撮影した写真コンテストも同時開催された。この写真コンテストでは、ポートレート撮影になるので、ペンタックスD10で参加した。レンズはお気に入りの77mmLimitedレンズである。

 

ペンタックスD10は、二台目のデジタル一眼レフカメラである。一台目は、当時驚異的連射速度を誇ったニコンD2。娘の運動会では活躍したが、日常使うには重すぎた。レンズをつけると1kgを軽く超えるのである。このカメラを使用するために毎日鉄アレイトレーニングを始めたほどである。

 

また、ニコン特有のメリハリのある絵が、家族写真に向いていなかった。しわまでくっきり写るのである。女性をとるには軟調気味のペンタックスがよく、また少しノイズ感のある絵がデジタルカメラでありながら銀塩写真のようでペンタックスを気に入っていた。

 

真実をそのままくっきりと写すカメラが必ずしもよいとは限らないと思う。特に女性ポートレートは、柔らかく写るカメラが最高だと思うし、年齢を重ねた被写体には喜ばれる。ペンタックスの77mmLimitedレンズは不思議なレンズで、おそらく光学性能は良くないのだろうけれど、ポートレートに使用すると、プロ写真家が撮ったような絵が出てくる。

 

フィルム時代から気に入って使用していたが、D10でもほとんどの写真はこの77mmで撮っていた。ただD10の撮像素子はAPS-Cサイズなので、フィルムカメラ場合よりも被写体と距離を置く必要があるのが欠点だった。

 

ボディーアートのコンテストで娘は素人ながら2位になった。写真家として参加した当方の結果は、このコンテストを紹介したホームページをご覧ください。

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2014.08/23 ニコンの一眼レフ

20世紀末になると写真機のデジタル化が加速された。しかし、当時デジタル一眼レフはまだ高価で、銀塩写真同等の画像が得られる製品は、ニコンやキャノンのハイエンドの製品しか無かった。デジタル化の流れの中で、明らかにキャノンが先行しニコンがその後を追いかけ、他のカメラメーカーはどんどん置き去りにされている状況が生まれていた。

 

キャノンのハイエンドのデジタル一眼レフは、当時デザインを除き気に入っていた。デザインはジウジアローによるニコンの一眼レフが好きだった。グリップ部分に一部赤色を入れたデザインは、ゴム会社のロゴデザインと同じく、かっこいいと感じた。

 

美しくなければ車ではない、という刺激的コマーシャルがあったが、美しくなければカメラではない、というフレーズを当てはめてみたくなるのがニコンのデジタル一眼レフだった。デジタル一眼レフは将来ニコンでシステムを揃えようと思い、とりあえず会社に貢献するために、フィルムカメラニコンF100を購入した。

 

F100を使用してびっくりしたのは、写真の失敗作が激減したことである。ペンタックスのカメラでは24枚撮りのフィルムで平均20枚ほど気に入らない写真となっていたが、F100を使用したらこれが5枚ほどになった。ただ、ベストショットは、ペンタックスのカメラからいつも生まれていた。ペンタックスのカメラによる写真はばらつきが大きかったのだ。スキルが無くてもほどよい写真が得られるのがニコンのカメラだと思った。

 

F100を購入して1年ほど経ち、ペンタックスとニコンで撮られた写真を比べてみたら、ペンタックスで撮影した写真のほうが良い写真が多かった。運動会の写真ではF100が圧倒的にその性能を誇示していたが、その他はペンタックスであった。ニコンのカメラで撮影した写真は、どこか硬かった。ペンタックスの少し軟調気味でぼけ味が柔らかい写真が、ポートレートに最適だった。

 

たまたまヘーベルハウス主催でキャノンが協賛の撮影会の案内を妻が見つけて、参加することになった。写真家の桃井氏が審査員及び講師としてキャノンのデジカメを持って参加していた。まわりを見ると大半がキャノンのカメラで参加しており、ペンタックスとニコンのカメラで参加したのは当方だけであった。撮影会のモデルはカメラ雑誌でおなじみのモデルだったので少し気合いが入った。F100を選択して参戦した。

 

残念ながらフォトコンテストでは優勝を逃がし、二位であったが、キャノンの双眼鏡を手に入れることができた。一位はキャノンのkissで撮影された写真であった。kissは当時キャノンの戦略的新商品で、参加者の多くがkissを使用していたのも、協賛がキャノンゆえに納得のゆくコンテストであった。その様な状況でデジカメで撮られていない写真が二位になることができ、F100の実力に感服した。おそらく状況からペンタックスでも一位になれなかっただろう。

 

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2014.08/22 ペンタックスの一眼レフ

学生時代にアルバイト代を貯金してペンタックスME及びレンズを3本ほど購入した。人生初めての一眼レフカメラである。それまでオリンパス「PEN」を使用していた。父親はコニカの一眼レフを使用していた。

 

ペンタックスの良いところは小型軽量で操作がよく考えられているところである。当時カメラの自動化でシャッター速度優先か、絞り優先かという議論がなされていたが、ペンタックスは絞り優先の自動化を推進していた。キャノンはシャッター速度優先であった。

 

ポートレートを撮るときには絞り優先になる。スポーツ写真を撮るときにはシャッター速度優先になる。このような説明がカメラ雑誌にされていたが、絞り優先カメラでも、シャッター速度優先で使用することも可能であった。ファインダーを覗きながら、絞りリングを調整すれば良いのである。

 

初めての一眼レフで姪を撮影し、カメラ雑誌に投稿したところいきなり佳作に入選した。撮影技術など未熟であったが、カメラがすべて条件を設定してくれるので、構図だけを考えれば良かった。また絞りを開放気味にすればボケが良くなることは理科の知識があったので分かっていた。

 

うまく背景がボケて、構図も良く、モデルもよければ簡単に入選するのがフォトコンテストと誤解した。以後投稿するのをやめた。29の時にカメラ雑誌に投稿しなければいけない事態になった。初めて投稿して入選した自慢話をしたら、某女性からポートレート撮影で写真雑誌への投稿を頼まれたのだ。

 

犬吠埼で撮影し、人生二回目の雑誌のフォトコンテストに応募したが、これは三席に入選した。モデルが良かったのだ。こちらが依頼しなくても様々なポーズをとってくれた。写真技術というのは難しく奥が深い、と加納典明がパーソナリティーを務めるラジオの深夜放送で40年ほど前に語っていたが、自動化されたカメラを使用した場合には、その敷居はぐっと低くなる。

 

33歳で結婚するまでペンタックスMEを使い続けたが、新生活を始めるに当たり、ペンタックス初の自動焦点カメラに買い換えた。小型軽量のペンタックスの特徴はなく、また外装はプラスチックで安っぽかった。しかしストロボを初めてカメラに搭載したデザインを気にいっていた。

 

 

 

 

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2014.08/21 執筆依頼

昨日工業用途のポリマー材料,エンジニアリングプラスチック,合成ゴムなどの 高分子材料の研究開発をテーマにした技術情報誌「Polyfile]から、2014年11月号の特集について執筆依頼を受けた。執筆内容については公開して良いのかどうか不明だが、当方の体得している技術の一つについて、科学と技術の視点にわけて、解説する予定でいる。もしご関心のある方は、購入してご一読ください。

 

これまでこのような業界誌からの執筆依頼を受けてきたが、可能な限り科学的に書くことを心がけてきた。しかし、それでも伝えたいことを書くためには、妄想と批判されても技術者の視点で見たときのポイントを述べるようこころがけた。

 

しかし、「妄想」が多すぎた場合に同僚から「好き勝手に書いている」とか、「よくあそこまで言いきるね」とか批判されてきた。業界誌は学会誌と異なるので技術者の妄想を書いても許されると思い、当方は書いてきたが、このような批判を受けると少しは心が痛む。

 

当方も学位を取得し、科学の世界で研究を行いたいと思っている技術者である。しかし、科学の世界にも定員があり、そこからはじき出されている身分では、せめて科学の世界で活躍されている研究者の先をゆく技術(注)を開発したい、と自己実現の目標を設定し研鑽してきた。

 

例えばSTAP細胞の論文では捏造と騒がれているが、あれは科学の世界で見ているからだ。もし本当にSTAP細胞ができているならば、技術論文として優れた論文である。STAP細胞の研究では、STAP細胞を製造する技術が無いために科学の研究ができない状態なのだ。

 

iPS細胞では、最初にそれを作る技術を消去法で開発し、科学の研究を開始している。STAP細胞については、小保方さんが200回も作成した、と言っているが、それを再現できる技術まで創り上げていなかったから問題になっているのだ。笹井さんも「あれは技術論文だ」と言えば良かった。

 

しかし、彼の立場ではそれが許されないだけでなく再現できないことも苦しい状況に追い込んだ。再現できていれば捏造ではなく妄想を分かりやすくするために脚色した技術論文となる。多くの特許がこのように出願されており、捏造などと批判されていない。技術では再現さえできれば、分かりやすく説明するための工夫は捏造とよばない。

 

一人の人間が200回も作成できているならば、いつかは第三者も作成できるようになる。当方は高純度SiCの前駆体製造技術について、たまたま電気炉の暴走があり1回成功しただけで、2億4千万円の先行投資をゴム会社で頂いている。そしてその先行投資された技術は今でもブリヂストンで事業として継続されている。

 

技術とは科学的に証明できなくても、機能をロバストよく再現できればそれで完成といえるのだ。タグチメソッドはそれを実現できる唯一の方法で、日本で生まれアメリカで育ち、日本に逆輸入された優れた問題解決法である。

 

今回執筆依頼を受けた内容について詳細は雑誌のPR記事をご覧頂きたいが、これまで公開してこなかった30年前に開発した技術についても惜しみなく公開するのでご一読ください。ちなみに本技術については、ゴム会社でたった2年だけ担当した技術で、退職前の一年間の最後の暇つぶしの期間に30年前を思い出しながら商品を一点仕上げることができた、由緒正しき「妄想」である。

 

技術とはそれを身につけることができるならば、担当した期間は無関係である。技術者の中には5年以上も担当しながら技術の完成を実現できない人もいる。一方一週間程度でも優れた技術を体得する人もいる。高純度SiCの技術はたった一日で生まれ、その一日で体得できた技術である。1日という期間であるが、未だに注目され時々質問を受ける。また某社からは数年前に改めて異なる視点で特許出願がされていた。

 

www.miragiken.com 」では、未来技術についてマンガで書いている。ドラッカーは誰も見たことの無い世界がはじまる、と予言し他界されたが、誰も見たことの無い世界を書くのにマンガは適した表現手段である。

 

(注)電気粘性流体の技術をいくつか開発したが、FDを壊して開発活動を妨害してきたのは研究者である。犯人は、「なぜそんなに早くできるのか、隠している論文を見せよ」とある日迫ってきたが、とんでもない勘違いである。電気粘性流体の科学論文など読んでいなかった。技術者は、その心眼で現象を眺め機能が正しく働く様子を心に描き、技術をデザインしているのである。その具体的方法を弊社では研究開発必勝法として販売している。

カテゴリー : 一般 宣伝 高分子

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2014.08/20 最終電車

昨晩は大変な日々であった。中国から帰国するための飛行機が1時間以上遅れ、成田着最終便となった。このような日に限って、預けた荷物は荷物受け取りカウンターで一番最後に出てきた。

 

成田からの足が無くなるのかと思ったら、京成電鉄は臨時特急を出してくれた。しかし、これが上野着の普通電車との途中接続という内容。日暮里で池袋行きの最終電車に乗ったら、東武線の最終電車に接続していると期待していた。

 

池袋に着いたら、自宅駅近くの電車は無く大変だった。家に着いたのは今日の2時で、お化けが出る時間である。足が無い状態なので当方がお化けかもしれない。

 

最近はテレビで怪談が少なくなり、道には街路灯のおかげでお化けも出にくくなった。しかし、このような日は出てきてくれて、冷気を与えて欲しかった。やや蒸し暑い。

 

せめてお化けでも出てきて仲間になってくれ、と思っていたら、池袋駅には人があふれていた。久しぶりに夜中の池袋駅を見たが、足の無い人ばかりでタクシー乗り場はあふれていた。これではお化けも出てこれない。下手に出てきたら携帯電話のカメラを向けられ、一斉射撃に合う。

 

夜中も人間が闊歩しているからお化けも辛い時代だ。少し景気が良くなったのか。

カテゴリー : 一般

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2014.08/19 高分子の難燃化(5)

ホウ酸エステルとリン酸エステルを組み合わせた難燃化システムは、軟質ポリウレタン発泡体の効果的な難燃剤だった。また、中間体である、ボロンホスフェート誘導体も単離することに成功した。燃焼面にきれいなガラス相の薄膜を形成するのだ。ゆえにドリッピングも防いだ。

 

このヒントは始末書を書かされた開発成果ホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームから得られた。すなわち通常のリン酸エステルを高分子に添加すると、燃焼時にリン酸エステルは熱分解してオルソリン酸を生成する。このオルソリン酸は250℃前後で揮発するので、燃焼時には燃焼している系外へ放出される。

 

これが空気を遮断して高分子の炭化を促進すると説明した教科書もあるが、この説明にはやや無理がある。なぜなら三酸化アンチモンとハロゲン系難燃剤の組み合わせほど難燃性が高くないからだ。このシステムで生成するハロゲン化アンチモンは強力な難燃剤である。

 

リン系の難燃剤は主に燃焼系内で機能して炭化促進に機能している、と考えた方が実際の現象とあってくる。またこのように考えると、オルソリン酸を系内に固定化するアイデアが出てくる。ホウ酸エステルとリン酸エステルの組み合わせシステムはこのような発想から生み出された。

 

ホスファゼンは高温度で重合するので気相に放出されない。これは燃焼後の残渣を調べるとPNOが検出されるのと、組成分析から得られる80%以上のPが残っている事実とで証明できる。

 

リン系難燃剤を効果的に利用するには、燃焼時に生成するオルソリン酸をうまく系内に固定化して効果的に難燃化できる方法を考えれば良い。詳しくは弊社へ質問してください。またリケジョが活躍する www.miragiken.com でも未来の高分子難燃化技術として扱う予定です。

 

カテゴリー : 連載 高分子

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2014.08/18 高分子の難燃化(4)

UL94規格ではドリップの有無で評価が大きく変わる。例えばV0試験では、ドリップがあった場合にいくら燃焼時間が短くとも硝化綿が燃焼するとV2となってしまう。この規格は実火災を念頭においた規格であり、科学的な見地から開発されたLOI評価法と相関が無い。

 

環境対応の必要性からノンハロゲン化技術に関心が集まり、リン系難燃剤の開発が進められ、耐熱性の高い新たなリン酸エステル系難燃剤もこの十年にいくつか開発された。リン系難燃剤では、その難燃化機構からリン原子の濃度とLOIとは相関する傾向にある。ポリウレタンや、PS、PC、ABS等でそのような実験結果が得られている。

 

しかし、LOIが24を越えたあたりから、リン原子の量が増えてもLOIが増加しなくなる場合がある。LOIが18前後の樹脂の場合では、21未満と21以上では相関係数が変化する。すなわちLOIが21は変曲点であり、それ以上では傾きが小さくなる傾向がある。

 

その結果、UL試験のV0以上を狙おうとした場合に難燃剤を20部近くも添加しなければいけなくなる場合が出てくる。コストも物性も考えなければこのような材料設計でも良いが、コストや物性のバランスを取ろうとすると難燃剤の添加量はせめて15%未満にしたい。

 

そうすると難燃助剤(と書いて良いのか知らないが)の添加という発想が出てくる。有名なところでは、ドリップ防止を狙ったフッソ樹脂の添加や、イントメッセント系の設計でメラミン樹脂との組み合わせを考えたりする。また、PC系ではシリコーンをグラフトしたPC樹脂を用いるアイデアも特許出願されている。

 

こうした考え方がいろいろ研究されてきて、特許出願が2000年頃から増えてきた。当方は、1980年にポリウレタン発泡体をホスファゼン変性して、10部未満で高い難燃性の発泡樹脂を開発し特許では無く始末書を書いている。そして始末書の汚名挽回策として燃焼時にガラスを生成するコンセプトで、硼酸エステルとリン酸エステルの組み合わせシステムを開発した。世間より20年早い発想でノンハロゲン難燃システムを完成した。

 

 

カテゴリー : 連載 高分子

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2014.08/17 高分子の難燃化(3)

高分子の難燃化には難燃剤が用いられている。難燃剤の添加で高分子材料の物性は低下する。特に靱性の低下が著しいので注意を要する。また難燃剤が可塑剤として働く場合があるので、弾性率の低下を心配しなくてはいけない。弾性率が低下すれば、引張強度や曲強度に影響が出る。

 

物性への影響を小さくして高い難燃レベルを達成する方法は、三酸化アンチモンと臭素系あるいは塩素系難燃剤を併用する方法である。経験的には、物性への影響を小さくしたいときにこの方法で最も高い難燃化レベルを実現できる。

 

しかし、最近環境への影響からこの系を用いることができなくなってきた。各種規制から制限を受けていないハロゲン系難燃剤も存在するが、実火災の安全性という観点からはハロゲン系難燃剤は1%未満の添加に抑えるべきである。

 

ノンハロゲン系難燃剤として三酸化アンチモンに匹敵する有効な難燃剤の探索が進められた。しかし、未だ見つかっていない。リン系難燃剤は炭化促進型として知られ、イントメッセント系の難燃剤もこの系であるが、炭化型で満足な難燃性を得ようとすると高分子材料に10%以上添加しなければいけない。多いときには20%も必要になる。

 

LOIを21以上にするだけならば5%程度の添加で実現できる場合も存在する。しかし、UL94-V0レベルまで達成しようとすると一般的に10%以上の添加が必要になる。面白いのはリン系難燃剤の種類で高分子材料との相性が存在することである。

 

難燃剤メーカーから代表的難燃剤について技術資料が公開されており自分が難燃化したい高分子材料の難燃剤選択に便利である。しかし、こうした技術資料だけで開発がうまく進めばありがたいがたいていの場合に技術資料の再現ができず悩むことになる。

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2014.08/16 高分子の難燃化(2)

一部の高分子について燃焼挙動の科学的解析が進み、難燃剤の機能について明らかになっている。しかし大半の高分子材料と難燃剤については未解明である。明らかになっている高分子材料についても実火災でその様に熱分解している、という証明はできていない。

 

高分子の難燃化というテーマは科学的に研究を進めにくい分野である。燃焼は酸化が激しくなった現象として説明されるが、同時に高分子の熱分解も起きている。溶融も生じる。ゆえに実火災に有効な科学的な高分子難燃化手法という万能手法は存在しない。実火災に対しては、各種難燃化規格に通過するように難燃化「技術」で対応することになる。

 

高分子の難燃化手法には技術的に二つの戦略が存在する。1.溶融型と2.炭化型である。1は、高分子材料に着火したとたんに溶融を促進し、火を消す、という手法である。2は、燃焼面に耐熱性の高い炭化層を形成し火を消す方法である。

 

常温のLOIで見たときに、1の戦略では、21以下でも自己消火性を示す材料を設計可能だが、2では必ずLOIを21以上になるように設計しなければいけない。2についてはイントメッセント系の難燃剤が有効と言われている。

 

UL規格で見たときに、溶融物の存在が許されるときには、1の戦略もとれるが、許されないときには、2の戦略だけになる。すなわち、この戦略は規格と達成したいレベルで選択することになる。UL94-5Vレベルの高分子材料の設計を目指す場合には、効率的に炭化層を形成する材料設計が重要になる。

 

 

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2014.08/15 高分子の難燃化(1)

どのような高分子でも、高温度の空気中で燃える。これを科学的に示すには温度を変えて極限酸素指数(LOI)を測定すれば良い。ちなみに空気をLOIで示すと21である。すなわちLOIとは酸素濃度を指数化したパラメーターで、空気には21%の酸素が含まれているからLOIは21となる。

 

LOIが21以上の高分子材料は空気中では燃焼を続けることができないので自己消火性、すなわち自然と火が消える。21以下の材料では、空気中で着火した場合に燃え続ける。このLOIを各温度雰囲気で測定すると、室温で21以上の材料であっても、ある温度以上で21以下になる点が存在する。

 

すなわち高分子材料は皆500℃以上にも達する実火災で必ず燃えることがこの実験で分かってくる。これが分かってくると、高分子材料の不燃化などという技術テーマを企画したりしない。せいぜい難燃化である。材料に火がついても空気中で燃えにくければ、あるいは自己消火性を示せば、少なくとも火源とはならない。多くの電化製品や事務機、電子機器はこのような観点で設計されている。

 

高分子材料の難燃化に関する研究は1960年代から1980年代にかけて活発に行われた。しかし科学的な研究の結論は未だに出ていない。技術的な見通しは、技術者によりそれぞれのノウハウとしてまとまっている。科学と技術を厳密に意識しなければいけない分野の一つとして、この高分子の難燃化という分野がある。

 

科学的な研究が最も進んだ1980年前後には様々な評価技術が登場している。LOIもこの頃登場した。UL試験も同様の時期である。コーンカロリメーターが実験装置として販売されたのは1980年代末である。

 

 

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