ドラッカーは、顧客の創造を実現する機能としてマーケティングとイノベーションの二つが重要と言っている。マーケティングについては説明の必要はないと思うが、顧客指向あるいは市場指向がポイントである。マーケティングの結果、顧客をよく理解できて独りでに売れてしまうような製品を生み出せる。
それではドラッカーの言うイノベーションとは何か。それは人的、物的、社会的資源に対し、より大きな富を生み出す新しい能力をもたらすことと著書に書かれている。その具体的方法としてこのシリーズの最初にマネベーション8つの戦略を示した。
ドラッカーは抽象的に4つの戦略を示しているだけだ。すなわち、業界や市場の内部要因と、外部要因に対して着眼し、1.顧客が真に欲求するものを提供することでイノベーションを起こす戦略、2.価格設定に工夫を凝らしてイノベーションを起こす戦略、3.顧客が抱える問題点を機会に変えてイノベーションを実現する戦略、4.顧客に価値を提供するという視点から製品やサービスを定義する戦略の4つを示している。
この4つの戦略それぞれに当方のマネベーション8つの戦略を具体的に実践可能である。ドラッカーが示した4つの戦略を成功させて製品や市場の性格を変えイノベーションを引き起こせば市場の勝者となる、というのがドラッカーのイノベーションの基本的な考え方である。
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すなわちドラッカーの意味するイノベーションとは、周期的に起きている大きなイノベーション以外に企業がその活動として実践しなければいけないことなのである。ゆえに技術開発ならば、誰にでも実践可能なマネベーションを体得しておくと便利である。
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「マネベーション8つの戦略」というタイトルこそつけなかったが、20回近くにわたり、マネを基本にした誰でもできそうな戦略を紹介してきた。その理由はイノベーションには、まず実践が重要だからだ。まず何かを実行しなければ不連続的進歩にぶち当たらない。とどまっていては退歩するのと同じである。できるのかできないのか悩むのではなく「やる」のである。
ドラッカーは企業活動の目的は顧客の創造にあるとした。そして顧客の創造をするために、マーケティングとイノベーションを行わなければならない、と力説している。やれるかどうか、ではなく、企業の機能としてこの2つに取り組む必要があると述べている。すなわち、顧客の創造のために実行する必要がある、あるいは、ドラッカーはそれを「やれ」とまで言っているのである。
ただし注意しなければいけないのは、ドラッカーは具体的な方法を示していない。ドラッカーの著作が難解と言われるのは、すべてが抽象的な表現だからなのだ。そこで長年ドラッカーを読んできた当方が「マネベーション8つの戦略」として具体化してみた。これが唯一の方法とは言わないが、誰でも簡単にできる方法ではないか、と思っている。
もしこの活動報告を読まれている方が管理職の方ならば、部下に8つの戦略を試してほしい。ささやかなイノベーションをその日から引き起こせるかもしれない。イノベーションはマネジメントの根幹でもあるので、それを具体的にどのように実践するのか、特に技術畑の管理職は毎日悩む。もし悩んだらこのシリーズの最初から読み返していただきたい。
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イノベーション=技術革新という訳語がいつ日本で一般化したのか知らないが、少なくともバブルがはじけてから10年間はこの訳語が一般的だったような気がする。21世紀になり、失われた10年などという言葉が流行して「ハイコンセプトの時代」がやってきた。
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するとイノベーション=技術革新に対して異議を唱える日本人が増えてきた。さらに欧米ではイノベーションについてシュンペーターが1910年頃に「経済の革新」をイノベーションという言葉で表現していたのだから今更おかしい、という人まで現れてイノベーションの言葉の意味が技術革新では無い、と論評することが流行にまでなった。
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「化学と工業」の2014年9月号にまで、このことが載るようになった。言葉というのはおもしろいものだ。それを論じているだけで深く考えているような錯覚に陥る。大切なのはその意味するところの実行にあるのだが、言葉の議論に終始し、具体的な実行方法まで思いが至らないという間違いをやってしまう。
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ちなみに日本化学会の雑誌のタイトルでは「大学研究者にイノベーションはできるのか?」と実行ではなく疑問符になっていた。イノベーションはドラッカーも1970年頃の著作で指摘したように「断絶」すなわち非連続的発展であり、誰かにできて誰かにできない、という議論は無意味である。
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「まず、やる、イノベーション」という精神で取り組めば誰でもそのチャンスは訪れると思っている。その思いを込めてマネベーションなる造語で8個の戦略を説明した。犬も歩けば棒にあたる、という言葉があるように、日々イノベーションを心がけておればどこかで創造的破壊を引き起こすことが可能と思っている。
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それが起きた結果は不連続かもしれないが、そのきっかけまでは連続した知性の歴史があるはずだ。その歴史をマネベーションで少しずつ磨き上げていったときに、技術では突然不連続の発明が生まれる。技術だけでなくファッションや思想の歴史を見ればそのような不連続性を歴史の中に見つけることができる。変革を志す誰でもそのチャンスが存在する。
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イ ノベーションについて毎朝書き続けたらすでに30回近くになっていた。先日の新聞にもイノベーションとは、技術革新ではなく新しい価値を提供することとい う論を展開していた評論が載っていたが、それを読み、今イノベーションの定義を改めて問い直している風潮は「ハイコンセプトの時代」という言葉を流行らせたダニエル・ピンクの影響が大きいのだろうと感じた。
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ところで、イノベーションを狭義の「技術革新」と訳したのは、1960年代の日本だけの勘違いの可能性がある。日本で愛読者の多い故P.F.ドラッカーの1974年の著書「マネジメント」には、「イノベーションとは、人的、物的、社会的資源に対し、より大きな富を生み出す新しい能力をもたらすこと」、と述べられており、「技術革新」だけを意味するものではないことが欧米では常識になっていたと思われる。
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余談だが、高校生の時に大学紛争の余波を受け、通学していた高校で校長室封鎖事件が勃発し、1週間授業が中断された。当時新聞には「断絶の時代」というド ラッカーの著書のタイトルが見出しで取り上げられたりすることが度々あった。父がドラッカーの愛読者だったことから、この誤用について親子で議論になっ た。
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この議論は、やがて親子の擦れ違いを生み出していったが、深い意味も分からず、総括と言う言葉と同様に世代の断絶などと生意気に口にし、言葉に酔っていて誤用に 気がつかなかった。おそらく、日本独特のイノベーション=技術革新という、当時の欧米と異なる意味で流布されていったのは、その言葉の響きに酔った学者がはやら せた可能性が高いと思われる。
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イノベーションとは、本来経済的価値の革新の意味でシュンペーターが言った言葉である。それを社会的資源まで広げ、あらゆる価値の不連続的変革すべてをイノベーションと定義づけたのがドラッカーだ。それを読んだ日本人の学者が広義ではなく狭義に誤解して技術革新と訳し、ダニエルピンクの言葉で改めて日本で今イノベーションの本来の意味が取り上げられている。
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高校生の時に読んだ「断絶の時代」の「断絶」の意味も単なる世代間の意識の違いでは無く、イノベーションが引き起こされた結果としての意味である。人類の進歩の歴史で生じる不連続性の原因は技術だけでない。技術が手段の一つの場合もあるのだ。この意味で「まねべーしょん」ということを8つの戦略で示してきた。イノベーションを引き起こすのに大技の技術シーズは必要ではない。目の前の製品の新しい視点による真似でも十分だ。
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「ハイコンセプトの時代」とはダニエル・ピンクが言った言葉だが、「新しいことを考え出す」能力は、訓練で身につけることができると思う。ただ考え出した新しいことについて皆に賛同してもらえるかどうかは別の話だが。
世の中のアイデアマンと言われる人たちや頭の回転が速い人たちのレベルまで到達するのは難しいかもしれないけれど、マネベーションの8つの戦略を繰り返し展開すれば、やがてオリジナルと呼べるものが生まれる可能性がある。
20年間自らの実践と部下の指導を通じて、誰でも新しいことを考えることができる、という結論に至った。ただし必要な訓練期間は人により異なる。これが問題だ。それでも一年間根気よく指導すれば目の前の製品からアイデアをひねり出すことは可能になる。特許も書けるようになる。
このレベルになった人たちを集めて技術のアイデア出しを行うとそれなりの質のアイデアが集まる。何も訓練しないでアイデア出しの会議を行うとアイデアの質を練り上げることができないばかりか静かに時間だけ過ぎるみじめな風景を見ることになる。
この技術のアイデア出会議の経験から、新しいことを考え出す能力は誰でも少なからず持っており、その能力を鍛え上げるのは上司の責任だと考えるようになった。弊社では来たるべき人工知能が普及する時代に備え「新しいことを考え出す能力」を鍛えるプログラムを用意している。 www.miragiken.com に一部紹介している。
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人工知能の進歩が著しい。この人工知能の急激な進歩から定型業務を行う仕事は30年後に無くなるだろう、という予測まで生まれている。現代のビジネスはISOの導入などで、将来はほとんどロボットでも可能とまで言う人がいる。
それが本当かどうか知らないが、マネベーションの8つの戦略のいくつかはロボットに可能となるかもしれない。しかしマネという作業はいくらパターン化しても人工知能では到達できない世界が存在する。
そっくりそのままのマネは人工知能を持ったロボットに人間はかなわない。しかし人間には「ひらめき」という人工知能にできない技が存在する。マネベーションの8つの戦略はそのひらめきを期待して考えた項目である。
ひらめき以外に「下手なマネ」も、人間ならでは、の技(?)である。犬の絵を描いたつもりがオオカミに見えるのはまだよい方で、豚に見える犬を書いてしまう人もいるかもしれない。これは人工知能では実現難しい世界だ。
マネベーションも同様で下手なマネからとんでもない技術が生まれるかもしれない。たとえばPPSにナイロンを相容させて高靱性の中間転写ベルトを開発したのは前任者の技術をそのまま受け継いだ成果だが、前任者は他の技術をマネしてPPSに6ナイロンを分散する技術を企画したという。
この前任者の下手なマネ技術が存在しなかったら、カオス混合の技術の発想は生まれなかった。PPSを中間転写ベルトに活用する技術開発を最初から担当していたら、あるいは押出成形で中間転写ベルトを製造する技術を最初から担当していたら、全く異なる技術で製品化していたかもしれない。
いくら人工知能が進展しても人間の発想力をすべてコンピュータでシミュレートできるとは思えない。若い技術者は、マネベーションの8つの戦略で発想力を磨いてみてはどうか。新しいことを発想する、というのは難しいことではない。若い人でコツを知りたい方は、問い合わせていただきたい。
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イノベーションとは、新しい価値を創造しそれを市場へ提供すること、と言われるようになったが、「創造」という言葉が入っているので、真似をしていてはイノベーションではないと言われそうである。
しかし技術の発展史を眺めてみると、結局何かの真似をしてイノベーションのきっかけが起きている事実に気がつく。かつて科学を重視し、技術革新を科学の力で、と叫ばれた時代があったが、科学は哲学の一つである。うまい真似のコツ「8つのマネべーション戦略」も同様に哲学の一つと思っている。
かつて有機物からセラミックスを合成するという大きなイノベーションを行ったが、事業化まで長い道のりだった。1982年に着想し、1983年10月に無機材質研究所で技術の実証に成功した。1984年に2億4千万円の先行投資を受けてパイロットプラントを建設したが、1990年住友金属工業とのJVスタートまで6年間苦しく楽しい死の谷を歩くことになった。
この経験からもっと効率的なイノベーションの方法がないのか写真会社で模索した。そこで思いついたのが徹底したマネベーションである。多くの新しい成果を生み出すことができ特許を300件近く書くことができた。
真似を心がければ専門外の技術でもイノベーションを引き起こすことが可能と考えている。実際に専門外であったフィルムの表面処理について転職してすぐに成果を出すことができた。
マネベーションは強力な新技術創出法だが、真似をしようとするオブジェクトについて優れた機能のオブジェクトを選ぶことが大切で、そのためには技術の目利きになれるように日々努力する必要がある。
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戦略8:オブジェクトの特徴となっている機能の数や機能する方向を変えてみる、というのは比較的簡単にできる。たとえば、まねしようとしている製品について、一つの機能しか無いところを二つに増やしたり、立てて使用する製品を横にしてみたりしてイノベーションできないのか探るのである。
もしこの戦略でうまくゆかなければ、これまで説明した他の戦略でイノベーションを行えばよい。戦略8は簡単にできるので、わざわざ戦略の中に入れなくてもよいかもしれない。しかし、人間は簡単なことでもすぐに実行できないものである。
コロンブスの卵などはそれを戒めた事例であり、この戦略8も忘れないようにいつも頭の中から取り出せるようにしておくとよい。
40年近く前一つのシリンダーに二つのプラグを取り付けたエンジンが登場した。排ガス対策のために考え出されたアイデアらしいが、派手な宣伝を行っていた。明らかにコストアップになる方法だったが、あたかもスポーツ車は皆その技術が採用されるようになりそうな宣伝だった。
残念ながらその技術は普及せず大きなイノベーションにはならなかったが、2プラグエンジンはZエンジンとして20年間生産された。実は一部のレーシングカー用のレシプロエンジンやロータリーエンジンには二つプラグがある。
どちらが本家か知らないが、レシプロエンジンのシリンダーに二つプラグを取り付けたZエンジンは、オリジナル技術では無かった。しかしプラグを二つにする目的が環境対策であり、目的や効果が異なるので、プラグの位置や形状その他の未知の因子を組み合わせて特許化可能である。
当時読んだ自動車雑誌に酷評が載っていたことを記憶しているが、Zエンジンは一つでも大丈夫なところを何かのまねをして二つ取り付けて成功した事例と思っている。一つでよいところを二つにするのはコストアップになるから普通は発想しないが、安直な方法でよい結果が得られる場合もあるので実践する価値はある。
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大塚家具の内紛が連日新聞に載り、プロキシファイトをあてこんで株も上昇を続けている。上場企業で父と娘がその経営方針の違いから争っているのだが、戦略7(異なる二つのオブジェクトを一つにしてみる)が使えないか?血のつながった父と娘である。何とか一つにまとめる方法があると思う。
水と油のごとく全く異なる性質の物質でも界面活性剤を添加すればミセルを形成し均一なコロイドとなる。界面活性剤を加える、というところが大切で、この手法は、ポリマーブレンドでも採用されている。
良く知られているように異なるポリマーはフローリーハギンズ理論で説明されているように相分離する。相分離してできる有名な海島構造では、島の大きさがポリマーブレンドの物性に影響を与えるので、コンパチビライザーを添加して島を小さくするように工夫する技術手段がとられる。コロイド化学における界面活性剤の考え方とよく似ている。
コンパチビライザーは異なる二つのポリマーのモノマー構造を持つコポリマーなのだ。親水基と疎水基で構成された界面活性剤は、異なる化学構造を持った低分子を混合する時の世界で機能する化合物の呼び名だが、コンパチビライザー(相容化剤)は高分子の世界の呼び名だ。両方とも均一に混ぜようとする対象と親和性のある構造を持っているのが特徴だ。
ポリマーアロイの技術の構造は、ほとんどコロイド化学のパクリである。余談だが、PC/ABSにコンパチビライザーはいらない。カオス混合で高次構造をナノオーダーまで小さくできる。カオス混合は混練技術の大きなイノベーションだ。但しその開発プロセスは戦略7ではない。
戦略7の実行において、両者をうまくミックスするための添加剤の概念が重要で、この概念には両者の基本的な要素が組み合わさっている。
父親のIKEAやニトリを意識してはいけない、という意見には賛成だ。だから以前の会員制にしたほうが良いとは思わないが、この仕組みや接客サービスの要素を分解し、取り込むことを娘は考えないのか?戦略7で新しいユニークな大塚家具に生まれ変われるような気がする。父と娘が仲良くなるためのアイデアがあるのだがーーー。
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大塚家具の内紛に関するニュースが連日報じられている。IKEAやニトリの台頭で旧来の家具屋は苦戦している、とTVで報じられているが、家具業界でイノベーションが求められたのは30年以上前だったと思う。イノベーションを怠った結果、現在の状態がある。有名な名古屋の服部家具(名古屋では、ひゃっとりかぐ、と読む)もすでに無くなった。服部家具センターは昔のひゃっとり家具ではない。
名古屋で見かけた50年前までの嫁入り風景は、豪華だった。まず服部家具で購入された嫁入り道具一式は、嫁の実家に運ばれご近所にお披露目される。姉の嫁入り前に寝るところが無くなった記憶があり、この儀式は40坪弱の住宅に酷な習慣だった。そして結婚式近くの吉日にトラック2台連ね、嫁ぎ先へ家具が運ばれる。
トラックは一台でも十分なのだが、なぜか二台に家具を分けてそれを紅白の幕で覆い徐行運転でしばらく走る。三番目の姉の時はこのような儀式が無くなっていたから、おそらく一家庭当たりの家具屋の売り上げもこの頃から下がっていった、と思われる。
当方の時代には、新婚生活をスタートしたマンションにクローゼットなどがあり、購入した家具は少なかった。それでもその時購入した3本のタンスについて、一戸建てを新築した時にどうしようか迷った。家具の多くは家具屋ではなく住宅メーカーが用意してくれるのだ。ただそれでも食卓のテーブルは少し良いもを買おうと大塚家具に出向いたりした。
20年前でも家具屋と言えば名古屋では服部家具だが東京では大塚家具だった。しかし昔服部家具で見かけたにぎやかさは既になく、ただつきまとう店員がわずらわしかった。結局購入した店は、自由に品物を見ることができた島忠である。しかしその島忠の店舗も再編され、近所には無くなった。
10年前豊川へ単身赴任が決まった際に牛久保駅近くにアパートを借りた。牛久保駅近くには昔中小の家具問屋が軒を連ね、休日には賑わっていた町だ。子供の頃、親に連れられ歩いた記憶があり、そのさびれた光景に驚いた。
企業の盛衰は50年、という本を40年前読んだが、今や10年ではないか。少なくとも5年間のビジョンを立ててイノベーションを心がけないと、あっという間に倒産する時代である。イノベーションが手遅れになると生き残りは大変だ。
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